「いつも5分遅れてしまう」仕事だけでなく、友達とのランチや美容院の予約にも…30代会社員女性「なんでこうなるの?」
やらなければいけないことを先延ばしにしてしまった。大事な手続きや持ち物を忘れてしまった。そんな失敗を繰り返して「私はだらしない人間だ」「情けない」「恥ずかしい」とがっかりしてしまうことはありませんか? 【写真】この記事の写真を見る(2枚) ここでは、普段からADHD(注意欠如多動症)の大人にカウンセリングを提供し、自身もADHD特性のある臨床心理士・中島美鈴さんが、実際に担当されたケースをいろいろ混ぜた架空の人物の「お困りごと」を解決する 『仕事も人生も、これでうまく回る!不器用解決事典』 (朝日新聞出版)より一部を抜粋。 「いつも待ち合わせに5分遅れてしまう」という30代会社員の女性のお悩みと、中島先生が提案する対処法を紹介します。(全4回の1回目/ 続きを読む ) ◆◆◆
ユキノさん(30代・広告会社クリエイティブ担当)のぼやき
仕事上の約束だけでなく、友達とのランチの約束も、美容院や病院の予約にも、いつも5分ほど遅れてしまいます。 友達は綺麗にヘアセットを済ませて手土産まで準備してくれているのに、私にはそんな余裕がありません。 待ち合わせ時刻が近づくにつれバタバタしてしまうのです。
なんで、こうなるの?
待ち合わせに間に合うように準備するのは脳の実行機能のなせる技で、脳の働きの中でも最も高度なものです。 実行機能のプロセスは、(1)出かける準備をスタートさせる「とりかかり」、(2)持っていく物を考えたり目的地までのルートを検索するなどの「計画立て」、(3)実際に身なりを整えたり持参する物をバッグに入れる作業を時計を見ながら進行させる「進捗気にして」、(4)準備の途中に別のことに気を取られすぎないように注意する「脱線防止」の4つです。これらすべてがうまくいって初めて遅刻せずにたどり着けるのです。 ユキノさんは、(2)の「計画立て」をせずに、支度を始めてしまうことが原因で、準備がうまくいかないのです。
「計画立て」のつまずきには「映像化」でリハーサル!
実行機能の4段階のプロセスを考えてみると計画立てがいかに高度な作業かおわかりいただけるでしょう。どこかでつまずいてしまうのは仕方ないけれど、「どこでつまずいたのかな?」と認識できれば改善策もみつかりやすくなります。 ユキノさんは着替えながら天気予報を検索、雨予報だと雨用の服に着替え直す、バスに乗ってから「あー、この間の旅行のお土産、持ってきたらよかった」と気づく、駅に到着して初めて「駅ビルの百貨店の会員カードを持ってきたらよかった」と後悔。こんなふうに、すべて後手後手になってしまいます。 いつもつまずくプロセスはどこかを洗い出したら、待ち合わせ場所に到着するまでの計画を立てていきます。コツとしては、明日の自分の行動を具体的に想像して頭の中で映像化することが非常におすすめです。すると、計画の内容や段取りが具体的に見えてきてイメージトレーニングやリハーサルの効果を果たしてくれるので、本番での準備がスムーズに進みます。 ユキノさんはこの方法によって、友達とランチする日の前夜に天気を調べ、雨であることを確認しました。それを踏まえて、まず防水加工のある靴を選び、次にそれに合う服を決定しました。また、駅まで乗るバスが雨の日には遅れがちになると思い出し、早めに到着する経路を検索しました。さらに、友達がいつも手作りクッキーをくれることを思い出し、旅行のお土産を持参することにしました。また、帰りに駅前のデパートで、ついでに買い物をするために会員カードを財布に入れました。 このように、映像で明日の状況を具体的に思い浮かべることで、計画を立て、効率よく準備を進めることができます。この方法を実践することで、ユキノさんは前もって計画を立てるスキルを身につけ、準備が効率的に行えるようになりました。結果として、忘れ物も遅刻することもなくなり、時間にも気持ちにも余裕を持って行動できるようになったのです。 友達はこうしたユキノさんの変化を喜んでくれて、さらに仲良くなれました。計画を立てるとき、天気や服装、経路、持ち物、会う場所、友達と話す様子や話題など具体的なシチュエーションを頭の中で映像化してリハーサルすることが重要です。 仕事のミスで落ち込む年下の彼女に良いアドバイスをしたのに…「なんで不機嫌に?」企業コンサルタント・20代男性のギモン へ続く
中島 美鈴/Webオリジナル(外部転載)
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