石破自公「少数与党」経済の悲惨な末路…!バラマキ政策連発の放漫財政でインフレが悪化、実質賃金の上昇は不可能に
放漫財政がインフレを悪化させる
不完全雇用経済では、財政赤字が拡大しても、遊休資源があるので、それらが使われてGDPが拡大するだけであって、物価上昇を引き起こすることはないと考えられるかもしれない。しかし、そうは言えない。 財政赤字が増大すると、不完全雇用下ではGDPが増加するが、それだけでなく、金利も上昇することに注意しなければならない。なぜなら、GDPの増加に伴って貨幣に対する取引需要が増加するので、貨幣供給量が不変なら、金利が上昇して貨幣に対する資産保有需要を減少させる必要があるからだ(マクロ経済学では、このことを「LMカーブは右上がり」と表現している)。 ところが、現在の日本のように金利が上昇しないように制約されていると、あるいは、政府から圧力が加わって、日銀が本来取るべき政策を実行できないと、物価が上昇して実質貨幣残高を減少させるような圧力が加わる。このため、不完全雇用下でも、財政支出の増大が物価上昇をもたらすのである。 これは、物価高に悩む日本に、さらに困難な問題を突きつけることになる。そして、実質賃金の持続的な上昇という目標は、一層遠のくことになるだろう。
野口 悠紀雄(一橋大学名誉教授)