【闘病】22歳で「なぜ私が?」 多発性硬化症と診断され就活でも苦労…
多発性硬化症は、脳と脊髄、目の神経に問題が起こる原因不明の病気で再発と回復を繰り返します。うえださん(仮称)は顔面の皮膚感覚の異常があり多発性硬化症と診断され、10年以上闘病を続けてきました。そんな彼女に、発症から現在までの話を聞きました。 ※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2023年3月取材。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
多発性硬化症の診断と治療
編集部: 病気が判明した経緯について教えてください。 うえださん: 左顔面の皮膚感覚がおかしくなり、知り合いの整体師に相談したところ「三叉神経痛の可能性があるかも」と聞かされたので、耳鼻科にかかりました。 原因がわからず経過観察となり、そのうちに左頬や左額にふれても、温度も触れている感覚もわからなくなったため、脳神経外科へ相談しました。じつは、顔面の感覚異常が発生する前にも顔面筋肉がうまく動かなくなったり、腕の動作不良の症状があったりもしました。 編集部: 脳神経内科を受診した結果はいかがでしたか? うえださん: MRIの結果、埼玉の多発性硬化症専門医の先生へ紹介状を書いていただき、そこでステロイドパルス療法を開始しました。その後、髄液検査や脳波検査などの検査の結果、多発性硬化症が確定しました。 編集部: ステロイドパルス療法について教えてください。 うえださん: 状況によって主治医判断で変わりますが、私の場合ステロイド点滴を3日間連続で行い、1クールで再発症状が軽快しない場合は、最大で3クールまで行ってもらっています。 幸いなことにステロイドがよく効いたので、これまでの再発はほとんどが後遺症も残っていません。 編集部: 若くして病気が判明した時の心境について教えてください。 うえださん: 「なんで私が?」と思いました。絶望しました。未来が思い描けなくなり、真っ暗になった感じだったのを覚えています。判明してすぐに開始したアボネックスが自己注射だったのですが、注射が苦手な自分に本当に打てるのか、すごく不安でした。 編集部: アボネックス注射の副作用があったそうですね。 うえださん: アボネックス注射を打っている時は、週に1日、ひどい関節痛と悪寒で、布団から出られなくなりました。アボネックスを打っている間にも1年間に最低2回再発があり、左右の目の視野が欠け、右手の握力の低下、右顔面の筋肉のこわばりなどの症状が起きていました。 しかし、毎回パルス処置のおかげで、後遺症はほぼありません。副作用でうつ症状がひどくなったため、薬をコパキソンに切り替えてもらいました。 編集部: 変更してどうなりましたか? うえださん: アボネックスの時に比べて、再発頻度が下がってきました。副作用も痛みだけだったので、生活しやすくなっていましたが、注射薬の冷蔵保存が大変だったので、経口薬の認可が下りたタイミングでテクフィデラに切り替えてもらいました。 編集部: テクフィデラ内服に切り替えてからはどうなりましたか? うえださん: 右足の歩行困難などの再発頻度が下がり、ほとんど寛解状態となりました。毎回ステロイドパルス療法で処置していたので後遺症はほぼなく、副作用の胃腸症状も和らいでいます。 編集部: 発症後の生活の変化について教えて下さい。 うえださん: アボネックスを打っている時は、ひどい関節痛と悪寒が出ていたので解熱剤を飲んでいましたが、体にだるさと微熱が残ってしまい、ウートフ現象で調子が悪かったので、友人との遊びの予定や、仕事との調整をどうやっていけばいいのか悩んでいました。 再発による体調不良で急遽予定が変わることも増えたので、事前に予定している人に事情を伝えて理解をしてもらう必要がありました。予定に誘われたときに、最初の頃はドタキャンになるのが申し訳なくて、参加することに尻込みするようになっていました。