松屋銀座がデジタルプラットフォーム開設 混雑緩和して接客時間を作る
ストレスなく買い物を楽しめるように
立ち上げの背景には、同店ならではの事情がある。
訪日客のショッピングは特に銀座に集中している。松屋銀座本店の上期(2024年3~8月期)の総額売上高は、前年同期比32.3%増の631億円で過去最高を更新した。訪日客による免税売上高が同2.2倍の314億円に拡大し、全体に占めるシェアは約49.6%(前年同期は約29.2%)に上昇した。
訪日客の恩恵で売り上げが拡大する一方で、課題も浮上した。人気のラグジュアリーブランドは入店待ちの行列が絶えず、タッチアップを行う化粧品売り場も大混雑が常態化した。結果、国内客の接客機会が奪われてしまった。上期の国内客の売上高は同6%減で終わった。放置すれば、国内客が松屋から離れてしまう懸念がある。混雑を緩和する客動線を作ることが、国内客、訪日客双方のロイヤルティを高めるために不可欠と判断した。
松屋の古屋毅彦社長は「デジタルの客動線を作ることで、日本のお客さまも海外のお客さまもストレスなく買い物が楽しめるようにしたい」と話す。適度な行列は人気のバロメーターとして許容できるものの、現状は度を超えているとの認識だ。マツヤドットコムによって顧客の利便性を高めるとともに、百貨店らしい接客とサービスが提供できる環境を確保する。