100メートルでの初五輪へ「1位以外は興味ない」 日本短距離界のエース、サニブラウン・ハキーム
▽陸上界の将来へ、自ら大会創設 東京大会後は普及イベントにも積極的に取り組んだ。「夜明け」や「始まり」を意味する英単語を冠した短距離大会「DAWN GAMES」を創設。今年は6月に東日本地区と西日本地区の予選を行い、10月に決勝を予定している。 「今の日本の短距離界は層が厚い方だとは思うが、もっと米国ぐらい熾烈であってほしい。もちろん自分たちが頑張らないといけないが、子どもたちの力も必要。陸上界の人気とともに、競技人口も増やしていきたい」 「自分も東京の小さな大会から出始めて、今では世界大会に出ている。陸上をやっていなくてもいいから、平等にみんなにチャンスを与えたい。いろんなことを経験できる機会があればと思って今回の大会に至った」 「現役選手として最前線で戦っているからこそ影響力があると思うし、与えられるものがあるはず。より子どもたちのモチベーションになってくれたらいいし、逆に自分が子どもたちから学ぶこともある。そういう環境は大事にしていきたい」
自身が世界の頂点を目指しながら、競技普及、裾野拡大を通じて抱く夢は大きい。 「将来的にはもっと幅広いことをやっていきたい。『チーム・ハキーム』として、自分の拠点や海外の最先端な場所に派遣して目と肌で感じてもらうことや、最高峰のダイヤモンドリーグに直接呼んで大会を見てもらうようなこともできればと思っている」 「世界陸上は織田裕二さんのおかげで有名になっているとは思うが、まだ国民全体で応援するところまではいっていない。サッカーのワールドカップ(W杯)や野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)には劣る。陸上のパブリックビューイングがもっと開かれるぐらい、競技の人気を上げていきたい」 ▽胸躍らせ、夏の祭典へ いよいよパリ本番まで2カ月を切った。所属するタンブルウィードTCが合宿を張るイタリアを拠点に、準備を進めていく。 「陸上をやっていて、自分がどこまで突き詰めていけるのかが、一番の楽しみ。まずは40~60メートルの中盤が課題になる。良くなった前半をいかにスムーズにつなげられるか。反復練習でしっかり仕上げられれば、9秒8台も見えてくる。本当に楽しみで、例年に比べての手応え、自信も大きい。ここからの一日一日も大切にしていきたい」