ホンダとデンソーが遺族に謝罪 エンストで死亡事故 燃料ポンプに不具合も当時はリコール対象外
日テレNEWS NNN
リコールが相次ぐホンダの軽自動車で1人が死亡した事故で、20日、初めてホンダと不具合があった部品メーカー「デンソー」が遺族に謝罪しました。当時、車を運転していた遺族が胸の内を明かしました。 ◇ 20日、大手自動車メーカー「ホンダ」と大手自動車部品メーカー「デンソー」の担当者4人が、車の不具合によって家族を亡くした遺族の元へ、初めて謝罪に訪れました。 遺族は今も、その時の恐怖を引きずっています。 父を亡くした息子 「車に乗るのがもう怖い。もっと早く対処してもらいたかった」 今年7月、高速道路(鳥取自動車道)のトンネル内で事故が起きました。息子が運転していたホンダの車は、トンネル内で突然エンスト(エンジン停止)。止まってしまったところに車が追突し、後部座席に座っていた82歳の父親は亡くなりました。 父を亡くした息子 「アクセルをいくら踏んでも、反応しない状態で、止まらざるを得なくなった。高速道路のトンネルの中なので、私もパニックになりました」 ◇ 警察やホンダによると、車がエンストした原因は、大手自動車部品メーカー、デンソーの燃料ポンプの不具合です。実は、この燃料ポンプを巡っては、3年ほど前から、メーカーが車を回収して部品の交換などを行う、「リコール」が相次いでいました。 現在、リコールの対象となっているのは主に2017年から2020年に製造された車で、ホンダをはじめ、トヨタやダイハツ、そして、救急車やパトカーも含まれています。対象はメーカー8社、あわせて382万台以上にのぼります。 異例の規模となっているリコールについて、関係者は「不良部品を製造したデンソーももちろん悪いが、自動車メーカーの対応にも問題はある。“いつ製造した燃料ポンプに不具合の可能性があるのか”を特定するのに、各社苦労している」としています。 事故当時、このホンダの車の燃料ポンプも、リコールの対象ではありませんでした。 ◇ 生活に欠かせない人も多い車。利用者は… 「ホンダ」の車を利用する人 「急に(エンジン)止まったりすると、とっさに(何も)できない」 「ホンダ」の車を利用する人 「リコール対象だったら、すぐメーカーに持って行きます。対象になったら、メーカーからなんか言ってくると思うんだけど」 通常、リコールの対象になると、自動車メーカー側から、車検証に登録されている住所にお知らせが届くことになっています。 ◇ 20日に遺族を訪問した企業側の4人は、約1時間半後に頭を下げながら、遺族のもとをあとにしました。 ――どのようなことをお話しに? ホンダの担当者 「おわびを申し上げにきた次第です。不具合の原因について、詳細をお伝えできていなかったので、ご説明した。(今後)会社として、誠意ある対応をすることになると思う」 遺族が望むのは―― 父を亡くした息子 「今回のことをよく肝に銘じていただいて、安全安心な物作り、人の命を預かっているという意識といいますか、そういうものを作っている誇りもあると思うんです。それを大事にして、僕みたいな経験をされる方がもういないように、安全な車を作っていただきたい」