岸田氏の「議連」旗揚げで政界に広がる“波紋”…“ポスト石破”での再登板狙いの臆測も
■「103万円の壁」引き上げは旧岸田派主導に そうした中、永田町だけでなく国民的にも注目が集まる「103万円の壁」を巡る国民民主党との協議でも、小野寺、宮沢両氏が自民党側の“主役”となり、不透明な要素が多い「自公国」交渉を進めている。特に、宮沢氏は「旧大蔵省出身で、党内きっての税制の専門家」(税調幹部)とされ、旧大蔵省後輩の玉木雄一郎国民民主代表、古川元久同代表代行(税調会長)との交渉も、「水面下では宮沢氏主導で進んでいる」(同)との見方が多い。
11月28日召集の臨時国会について、与野党が早々と①首相の所信表明と各党代表質問②その後の衆参予算委審議③会期は12月21日までーーなどの日程で事実上合意したことも、「自公国交渉の“円満決着”が前提となっている」(自民国対)とみられている。 確かに、迷走が想定された臨時国会が波乱なく閉幕すれば、与野党攻防は年明けからの次期通常国会に持ち越され、首相も「超短命政権」の危機を脱することになる。そうなれば「政局の次の節目は、衆参同日選説も浮上している『来夏の政治決戦』となるが、現状では自民党は衆参両院で大苦戦する」(選挙アナリスト)との予測も少なくない。当然、その場合は「首相退陣」が現実味を帯びるからこそ、「今回の岸田氏の動きはそれをにらんだもの」(自民長老)との声が出るのだ。
政権危機に苦悩する石破首相は、党の派閥パーティー収入不記載事件に端を発した「政治とカネ」問題の再発防止策に力を入れることで窮状打開を狙うが、岸田氏は周囲に「守りだけではなく、攻めも大事だ」と強調する。 ■旧岸田派の林氏擁立が「政治常識」だが… もちろん、9月の自民総裁選で岸田氏が支援に回ったことが石破首相の勝利の決め手となったのは周知の事実だけに、岸田氏はあくまで石破首相を支える考えを変えてはいないとされる。だが、党内では衆目が一致する「ポスト石破」候補も見当たらないのが実状のため、岸田氏の動向に注目が集まるのだ。