オールシーズンタイヤってどうなの? 雪・凍結・シャーベット路面はグッドイヤー「ベクター4シーズンズ・ジェンスリー」で走れたのか?【後編】
気温は氷点下で路面凍結の可能性も?雪も降り始めていきなりのハードコンディション
試乗は1泊2日のロングドライブだったため、雨の上信越道を後にしてこの日は佐久市内で宿泊。翌日は早朝から出発して八千穂方面を目指したが、相変わらずの空模様と低い気温で、路面状況はさらに厳しさを増していた。 【画像】オールシーズンタイヤ「ベクター4シーズンズ・ジェンスリーSUV」を履いて氷雪路を走ると……? 建設が進む中部横断自動車道へ入り一路南下。終点の八千穂高原インター手前から路肩に白いものが目立ち、路面も気温的に凍結が心配な雰囲気だ。 一般道に入り少し走ると、行き届いた除雪がアスファルトを露出しながらも、ところどころにシャーベット路面が残っている。そして空からの雨は、みぞれに変わっていた。オールシーズンタイヤにとって、いきなり厳しい状況がやってきたという感じだ。 しかしこうした路面で「VECTOR 4SEASONS GEN-3(ベクター4シーズンズ・ジェンスリー)SUV」は、かなり優秀なグリップ性能を発揮した。気温にしてマイナス1~2度の領域でもゴムは柔らかさを失わず、排水性もきちんと保たれていた。
前輪駆動ながらZR-Vの走破性にも助けられる
もちろんときおり(氷の路面が現れるのだろう)、ムズムズとした挙動は起きる。アクセルも無造作に踏もうものなら、ピカピカVSA(ビークルスタビリティアシスト)がメーター内で点滅する。 しかし試乗車が前輪駆動のZRーVであることを考えれば、その走破能力はなかなかだ。四輪駆動(4WD/AWD)と思わしきクルマたちに先を越されることもたまにあったが、地元の交通の流れに対しても遅れを取ることもなかった。 そして標高を上げて行くほどに、路面には雪の量が増えていった。それは圧雪と言うほどではなく、しかし磨き上げられた轍(わだち)や日陰には、アイスバーンが目視できる路面だった。 こうした路面だと、スリップ率はさらに高まる。 https://youtu.be/AEVt_sM0cAM スタッドレスタイヤの中でもゴムの柔らかさに特化したタイヤと比べれば、ベクター4シーズンズ・ジェンスリーSUVのグリップ感は正直低いといえるだろう。 しかし速度レンジを高く取った、雪を掘ってトラクションを掛けて行くタイプのハードコンパウンド系スタッドレスタイヤと比べれば、雪上におけるそのグリップ感は、もしかしたら遜色ないのかな? とも思えた。 気温で言うと、マイナス5度くらい。 こうした状況ではスピードのマネージメントに注意しながら走れば、突然グリップに見放されるような危なっかしさはなかった。アクセルを踏んで駆動輪が滑ったとしても、その滑り方は穏やかで動きも読みやすい。 ZRーVのパワーマネージメントはそのほとんどがモーター駆動であることも含めて、滑りながらもトラクションを掛けて行くことが可能であり(VSAはアクティブ。点滅しながらでもアクセルをパーシャルスロットルで維持すれば適切な駆動力をかけ続けてくれる)、慣れてくるほどにジェンスリーSUVの運転しやすさは増して行った。 もちろんその“慣れ”こそが、一番の大敵なのだけれど。 https://youtu.be/SCJSQaVIv5M こうした雪上グリップの高さには、Vシェイプのトレッドパターンを斜めに横切るに大型サイプの排出性が効いている。さらにはこれと、水平方向に走る細いサイプの交点が、グリップ時に押し広げられて排雪性能を高めるのだという。 ちなみにスノーブレーキ性能は「ハイブリッド」に対して5%向上しているという。 ・雪上ブレーキテスト条件 テスト車:国産1.8Lセダン(FF) タイヤサイズ:195/65R15 95V XL 空気圧(kPa):F250/R240 路面:雪上路面 試験速度:100km/hからの制動(ABS動作あり) ※日本グッドイヤーの資料より オールシーズンタイヤにとって最大の難関となるアイスバーン路面では、確かに雪上とは比べものにならないほど、グリップが失われやすくなる。 ただ意外だったのはこうした路面でも、まったくアンコントロールではなかったことだ。もちろん氷の上を通り過ぎるときは、車速は極めて低く(20km/h未満だろう)保たねばならない。そこがカーブなら手前で減速し、なるべく横Gを出さずにアクセルでジワジワ加速しながら曲がって行く。そうすることでソロソロとでも、アイスバーンを無事に通過することができた。
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