悲願のKOC王者・ラブレターズ「優勝なんてない」の〝覚悟〟 採点に「審査員の好み」視聴者から違和感も
審査側も問われる時代
そのほか、4位のや団は「職場の休憩室で仲間の誕生日を祝うはずのシチュエーションで起きた惨事」という彼ららしい展開で観客を魅了し、5位のシティホテル3号室は「生々しい価格交渉を展開するテレビショッピング」というユニークなネタで会場を沸かせた。 続くダンビラムーチョは、「1曲中に4回だけしか叩けない4発太鼓」という架空の伝統芸能ネタで笑わせ、ニッポンの社長は「野球センス抜群も声が小さい高校球児に対し、ことごとくバットで叩きながらツッコミを入れる監督」というインパクトの強いコントを披露。 今大会最年少のcacaoは「弱小チームゆえに部室内の練習で異常な集中力が鍛えられた野球部員と監督」、コットンは「リアルすぎる人形劇を披露する子どもと、その世界に引き込まれてしまった大人」を熱演して大会を盛り上げ、隣人は「頭脳が発達しすぎたチンパンジーとの暮らしに危機感を覚えた老人」という独特な世界観で存在感を示した。 他方、SNSのX上で「審査員の好み」がトレンド入りしたのも印象深い。現時点のルールでは審査員それぞれの見識や感性で採点しているが、やがてフィギュアスケートのように「演技」「技術」「構成」などの項目別に点数をつけるタイミングが来るのだろうか。 それほどに「5分のコント」は年々巧みさを増し、ネタの善し悪しを判断する審査側の能力も問われる時代になった。ただ、今年のラブレターズを見ていると、つまるところはコント師の内に秘めた思いが勝敗を分けるように思えてしまう。 優勝後の記者会見で、溜口は「本番前から『どうせ優勝なんてないんだから』と言ってきてたんです。今までの人生が積み重なって、自分たちに期待していなかった」と語っているが、裏を返せば「優勝せずともコントは続けていく」という強い覚悟があったと感じてならないのだ。