悲願のKOC王者・ラブレターズ「優勝なんてない」の〝覚悟〟 採点に「審査員の好み」視聴者から違和感も
マンパワーで勝利した王者
そして、大会の第1回目から出場し、2年連続5回目の決勝進出で悲願の優勝を果たしたのが、ラブレターズの塚本直毅と溜口佑太朗だ。 1本目は、ひきこもりの息子の洗濯物からどんぐりが落ち、“外に出ているかどうか”で一喜一憂する父親(溜口)と母親(塚本)を演じた。父親が「古いどんぐりかもしれない」とネット検索するも「古いどんぐりは虫が湧いてダメになる」「ただ、5分~10分茹で十分に乾燥させたら元の状態で何年か遊べます」と出て再び暗礁に乗り上げる。 その後、父親は息子が風呂に入っている隙に部屋へと忍び込み、大量のどんぐりを持って戻ってくる。「息子の名前(スペース)どんぐり」で再度ネット検索すると、息子のYouTubeチャンネルを発見。どんぐり笛を作って井上陽水の「少年時代」を演奏する息子の動画に父親はどんぐりをぶちまけて感激し、母親と涙ぐんで抱き合いラストを迎えた。 審査員はこぞって高い得点をつけ、合計475点で2位のロングコートダディと並んだ。とくに小峠と山内のコメントが印象的だ。 「子どもをどうやって出すかではなくて、あのどんぐり1個であそこまで展開させるストーリー性。あとやっぱ『少年時代』をかける意味合い、意味のあるSEというか。雰囲気作りのSEじゃなくてちゃんと意味のある。あれは良かった」(小峠) 「最初、感情が『クククゥー!』とか言ってんのが『いや、そうはならへんやろ』って思ってたんですけど、だんだんこっちがその感情に追いつかされてきて『クククゥー!』とかなってんのが、どんどんどんどん面白くなる感じがすごい新しかった」(山内) 続く2本目は、ナンパしようとやってきた亜麻色の髪の外国人男性(溜口)が流木に座って海を眺める女性(塚本)にみるみる翻弄されていくネタだ。Jリーグのジュビロ磐田の熱狂的ファンを自負する女性は、「坊主にすれば優勝できる」という占い師の言葉を信じて坊主頭にしたと明かす。 ひとしきり話を聞いた男性は「キミはよどみなく変だ!」と距離をとるも、そのタイミングで魚が釣り竿を引いていることに気づく。竿を引っ張り、魚と格闘する男性。その最中、今度は女性が「この九十九里で髪を切れば千葉のチームに一生負けないの」とバリカンでさらに髪を刈り、ジャンプして応援歌まで歌い出す始末。最後は、女性がゴン中山の名言を吐いて川崎の海へと去っていく……という何とも変わったコントだった。 これに対し、審査員の山内は「ハゲてバリカンしながら、後ろで魚釣ってる。一番面白い構図」、秋山は「最初は溜口くんがボケかなと思ってたら、もっとヤバいやつ出てきて」と高く評価した一方で、じろうは「要素が多すぎる割には、あまりお客さんに伝わり切ってなかった」、小峠は「(筆者注:話が)どこに向かっているのかなって」、飯塚は「ストーリー性がもうちょっとあったほうがいい」とマイナス要因も口にしている。 ファイナルステージの最初にネタを披露したこともあるだろうが、こうした点からも審査員全員が手放しで認めた王者ではないことがわかる。やはり、大会の終盤でじろうが語った「ラブレターズは人(にん)の力というか、マンパワーで何とかしようとしたところとかも見えて、そこがちょっと差が出たのかな」という言葉に尽きるのではないか。