観光産業の景況感、18カ月連続で全産業の景気DIを上回る
増加する訪日外国人客数を背景に、強いインバウンド需要
日本政府観光局(JNTO)が発表した「訪日外国人客数」によると、2024年の訪日外国人客は1~7月までの合計が2107万人に達し、前年同期の1303万人を上回った。通年で前年を超えるのは確実と見られ、そのペースはコロナ禍前の2019年をも上回っており、国内の観光産業を牽引しているといわれる。 インバウンド需要を背景に観光DIは全産業の景気DIを18カ月連続で上回っているが、多少の円高が進んだことでマイナスの影響が懸念される。 人手不足やオーバーツーリズムなどの経営課題に対処しながら、新たな旅行需要を掘り起こす必要がありそうだ。 [1] 観光産業は非常にすそ野が広く、特定の業種分類として表すことは困難であり、個々の産業に関する統計整備にとどまる。そこで、本レポートでは、UNWTO(世界観光機関、World Tourism Organization)が示している国際基準である TSA(旅行・観光サテライト勘定、Tourism Satellite Account)において観光産業(Tourism Industries)に分類されている業種に基づき、観光産業として定義した [2] 観光DIは、注1で分類した観光産業に属する企業の景気判断を総合した指標。観光DIは0~100の値をとり、50より上であれば景気が「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる