地球の地殻「海と大陸」どちらが先にできたのか…じつは「水の果たした大きな役割」を考えれば、おのずと見えてくる「地球形成のシナリオ」
島孤による大陸地殻の形成
これらのマグマが地表に噴き出して、火山活動を開始するとともに、島弧を形成するのです。 島弧とは、日本では、マリアナ海溝の北の伊豆・小笠原弧で知られる、弓形に連なる島の列です。大陸地殻のそもそものはじまりは、「島弧」の集合体であったと考えられます。 最初は海面下にできた島弧は、やがて陸上に顔を出すようになります。そして、以前の花崗岩についての記事*でも触れましたが、島弧はプレートの上にのって移動し、次々と別の島弧と衝突し、合体して、やがて大陸地殻を形成します。それは隕石が次々と合体して惑星ができるのに似ています。 これも先ほどの記事*でご紹介しましたが、北米大陸にはいまから約35億年前に形成された巨大な大陸地殻があることを述べました。それは現在の島弧と同じように、おもに安山岩からなっていて、島弧が集積してできた原始的な地殻の典型といえるでしょう。「原始的」というのは、やがて出現する大陸や超大陸とは異なる地殻という意味です。 このような地殻を「クラトン」といい、同じようなものは中国にも見られます。 *参考記事「大陸地殻と花崗岩誕生の謎」について:二転三転して解決した「花崗岩の謎」…なんと「生まれの違う」兄弟いとこが多すぎた「衝撃の事実」
地殻のなりたちと三つの石
最初の大陸がいつ、どのようにしてできたのかは、よくわかっていません。それに答えるにはまず「大陸とは何か」を定義しなければなりません。 もし大陸は「花崗岩でできた陸の塊」とすれば、いちばん古い花崗岩がそうなりますが、広い意味での花崗岩は大陸だけでなく島弧にも出てきますし、海嶺からも特殊な花崗岩(カリウムが非常に乏しい斜長花崗岩)は出てきますので、厳密な定義にはなりません。 もし島弧が衝突合体してできたものが大陸であるとすれば、二つ以上の島弧ができたときが大陸の起源ということにでもなるでしょうか。 はっきりしているのは、大陸は大陸地殻からできているということです。 すでに述べたように地殻には大陸地殻と海洋地殻があり、それぞれ陸と海をつくっています。陸地も海底も地続きなのだからそこに区別などはなく、もしも海水をすべてとっぱらってしまえば、地球は全部、ひとつながりの陸になるというわけではありません。二つの地殻はまったく別ものなのです。 そのことは、それぞれの地殻の成因を見れば納得できると思います。