「大戦犯だ」斎藤前知事「奇跡の大逆転」決定づけた「机叩き動画」相生市長に止まぬ批判…本当にSNS嘘情報のせい?稲村氏敗因3つのポイント
集まった記者の面前で机を激しくドン
相生市長の谷口芳紀氏は斎藤氏に関し「私は少なくとも県知事として資格がないんじゃないかと思っております」と述べると、集まった記者の面前で机を激しくドンと叩いた。その様子に周囲が驚いていると、「何が悪い!以上です」と威嚇するように声を荒げたのだ。もともとは斎藤氏の再選阻止を目的に稲村氏支持を表明したのだろうが、この威圧的言動の模様はネット上で拡散されることになった。 稲村氏にとっては追い風どころか、投開票直前というタイミングで一気に逆風を受けたところだろう。今回の県知事選は、幹部職員だった元西播磨県民局長が斎藤知事の「パワハラ」疑惑などを報道機関に“告発”したことに端を発する。斎藤氏は県議会の調査特別委員会(百条委員会)で追及され、全県議が辞任を求めた。知事不信任決議の議決を経て斎藤氏は失職し、出直し知事選にいたる。 だが、あろうことか斎藤氏の知事としての資質を問う局面で支持表明した市長が「パワハラ」を想起させる威圧的言動を見せたのだ。言うまでもなく、「大声で怒鳴る」「机を激しく叩く」といった行為はパワハラ行為に該当する可能性がある。稲村氏はもちろん、こうした言動を予想していなかったに違いない。ただ、政党や組織に頼らない選挙戦に挑戦するとしながら、市長有志の支援が結果としてマイナスに働いたことは否定できないだろう。
斎藤知事の資質を追及するならばするのかしないのか
2つ目のポイントは、稲村氏の「戦略」のミスだ。兵庫県議を2期・7年務め、全国最年少の女性市長として知られた稲村氏は「対話と信頼で改革を実現する」と訴えた。選挙戦においては、斎藤知事の疑惑追及でストップした兵庫県政をにらみ「停滞した県政を前へ進める」「リーダーの政治姿勢が問われる選挙だ」などと指摘したが、斎藤知事の資質を追及するならばする、しないならばしないと徹底すべきだったと言える。 斎藤氏は、報道機関などに送付した「告発者」の特定などのため内部調査を指示し、県幹部が告発職員のメール送受信記録を調べたり、事情聴取をしたりした。「ウソ八百」と告発内容を強い表現で否定し、4月の会見では「公益内部通報制度では受理していない。公益通報には該当しない」と述べている。元県民局長は懲戒された後に命を絶っている。