「大戦犯だ」斎藤前知事「奇跡の大逆転」決定づけた「机叩き動画」相生市長に止まぬ批判…本当にSNS嘘情報のせい?稲村氏敗因3つのポイント
いつの間にか「保守対リベラル」の構図に
知事選は誹謗中傷や偽情報も拡散される事態となり、支持者同士が衝突する異様な展開も見せた。稲村氏を支援する政治団体の「X」アカウントは選挙期間中に2度も凍結されている。もちろん、「SNS対オールドメディア」といった簡単な構図で分析することはできないものの、斎藤氏への批判一色だったオールドメディアに懐疑的な人、あるいは見ない人々がいるのは間違いない。 斎藤氏は支援の輪がSNSを通じて口コミで広がり、序盤の劣勢を挽回していった。投票率は14%超も上昇し、日経新聞などが実施した出口調査では10~30代の斎藤氏への投票数は稲村氏の3倍だった。「分断」ということで言えば、稲村氏の支援者にはリベラル系が目立ち、いつの間にか「保守対リベラル」の構図が知事選で持ち込まれた面もある。 プロ野球の名監督・選手だった野村克也氏は「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」との名言を残した。政党色を薄め、組織的な戦いをしないとしながら、SNS戦略でも劣った稲村陣営は負けるべくして敗北したと言えるだろう。2022年12月に3期12年務めた尼崎市長を退任した稲村氏は「選挙に出ることはない」と政界引退を宣言していた。そうした点も含めて総括し、稲村氏が今後の歩みを進めていくことを期待したい。
佐藤健太