EVは自然災害の“守護神”となり得るか? 緊急時の電力供給パフォーマンス! BYDの補助金「10万円増」から考える
筆者の意見
EV補助金の増額に自治体との災害連携協定が評価項目として含まれている点は、重要な意味を持つ。 日本は地震や台風などの自然災害が多発する国であり、迅速かつ効率的な支援体制の構築が求められている。災害時にEVが電力を確保し、V2H技術を通じて家庭や避難所に電力を供給できれば、EVの社会的価値はさらに高まるだろう。 自動車メーカーも自治体との災害連携協定を積極的に推進している。2024年元旦に発生した能登半島地震では、日産自動車が迅速な支援を展開。石川県穴水町や珠洲市に ・アリア ・リーフ などのEV8台を無償で提供し、七尾市や羽咋市の販売店では急速充電器を無償で開放した。このような取り組みは、被災地支援におけるEVの可能性を示している。 今後、メーカーと自治体の協力関係が災害連携協定を通じてさらに拡大すれば、日本全体の防災力向上が期待できる。また、他のメーカーがこの動きに追随することで、災害時におけるEV活用が社会全体に広がり、防災の新たなモデルが形成される可能性も高い。
筆者への反対意見
一方で、補助金の増額が災害支援にどれほど実質的な効果をもたらすかについては、疑問の声も上がっている。 災害時にEVを効果的に活用するためには充電インフラの整備が不可欠だが、特に地方では充電設備が不足している地域が多いのが現状である。そのため、自治体がEVを所有していても、災害時に適切に運用できなければ、実際の効果は限られてしまうという指摘がある。 また、災害支援のためのEV活用が補助金増額に結びつく仕組みに対して懐疑的な意見も存在する。補助金の本来の目的はEVの普及促進であり、災害支援はあくまで副次的な要素にすぎないとの見方だ。 さらに、災害連携協定を結ぶ自治体やメーカーが限定的であれば、全国的な波及効果は期待できないとの意見もある。一方で、補助金の支給に先立ち、災害時にEVを活用できるための基盤作りが最優先されるべきだという意見もある。