職場の「男らしさ」が会社に与える影響とは
「女は女らしく」なんて言うと時代遅れもはなはだしいと大バッシングを受けるが、「男は男らしく」がいまだに横行しているのが企業だ。しかし、男は頑張って残業、男は家庭より仕事だと、がむしゃらに働くことを良しとする空気が、じつは社員のパフォーマンスを落としていた。 XTarent(クロスタレント)が運営するハイクラス転職サービス「withwork」(ウィズワーク)は、20代から60代の男性109人を対象に、「男らしさ」という固定観念がもたらす影響について調査を実施した。それによると、職場で「男らしさ」によるプレッシャーを感じたことがある人は、「頻繁に」と「たまに」を合わせて51パーセントを超えていた。 「男らしさ」を求められることで生きづらいと思ったことのトップ3は、仕事や昇進に対して野心的でなければならない、大黒柱的な役割を求められる、育児や私生活にもっと時間を割きたくてもかなわないというものだった。 また、男らしさのプレッシャーを感じる職場の特徴のトップ3は、「長時間労働が常態化している(良しとされている)」、「多様な価値観を受け入れない」、「男性の育休取得率が低い」だった。 こうした空気によって、仕事のパフォーマンスが低下した人は33パーセントもあり、ほぼ同じ割合でメンタルの不調をあげる人もいた。さらに、生活の質の低下、身体面の不調、転職や退職に至った人が約17パーセントにものぼった。
「男らしさ」文化の解消に求められるもの
しかしこれは、その会社の企業文化とは言い切れない。役職別の考えを分析すると、一般社員、リーダー層(主任、係長、課長)、マネージャー層(部長、本部長)では、「男らしさ」という観念がネガティブな影響をもたらすと考える人が3割前後と多いことがわかる。ポジティブな影響があるという人は、一般社員、リーダー層では20パーセント前後、マネージャー層で約30パーセントと、いずれもネガティブな影響を下回る。 ネガティブな影響はマネージャー層で大幅に増えるものの、ポジティブな影響は役職が上がるごとに微増する。そして驚くべきことに、経営層になると、ネガティブが20パーセント未満に激減し、ポジティブが約40パーセントに激増するという大逆転が起きる。「男は男らしく」と育てられ、がむしゃらに働いて成功した人の固定観念の表れか、とも邪推してしまう。逆に、今のマネージャー層が経営層になれば、世の中がずいぶん変わるだろうなと期待が持てる要素でもある。 調査では、こうした圧力の解消に必要なものを尋ねているが、それは複数選択で85パーセントの人が選んだ「多様な生き方が尊重される文化の醸成」に集約される。それ以下は、職場の意識改革、学校教育の改善、ロールモデルの創出、女性の社会進出、親世代の理解促進などは、どれも多様な文化醸成のための手段であり、全体として古い固定観念からの脱却を求めている。 男らしくありたいと思うのは自由だが、その私的価値観を他人に押し付けるのは、よかれと思ってのことでも、相手に深刻なダメージを与えかねない。「男らしく」頑張ることが、必ずしも会社のためにならないことを認識すべきだろう。
Forbes JAPAN Web-News