「新幹線だけの駅」本庄早稲田、知らない間に大発展していた 駅名ばかりで判断すると「真の姿」を見誤る
■駅の誘致運動が実を結ぶ こうした経緯もあり、この地域を上越新幹線が通ることが決まると、市では駅の誘致を始めた。残念ながら開業時には実現しなかったが、その後も県内および群馬県のほかの自治体の協力を取り付け、動きを続けた。 すると1993年に埼玉県から、本庄市および周辺5町1村が「本庄地方拠点都市地域」として指定を受けた。2年後には基本計画が承認され、本庄キャンパスを含む地域は「早稲田リサーチパーク」として位置づけられた。
こうした展開が後押ししたのか、1998年には新駅設置についてJR東日本と埼玉県、本庄市が基本合意し、6年後の開業を迎えた。同時に早稲田リサーチパークもオープンしている。 整備費用は全額を地元が負担した、いわゆる請願駅だが、本庄市と早大の折半ではない。 新駅建設予算は123億円のうち、本庄市と埼玉県がそれぞれ3分の1の41億円を負担し、残りの41億円の半分を周辺6町村が拠出。もう半分は早大の7億円をはじめ多くの企業、団体、市民から寄付により募った。
これ以前に本庄市の鉄道駅は、JR東日本高崎線の本庄駅しかなかった。ただし本庄早稲田駅開業後、南隣の児玉町と合併したために、現在は八高線児玉駅を含めた3駅が本庄市内にある。 ■生徒たちは新幹線で通学? 駅は高架で、上下線ともに中央に通過線があり、両脇に待避線とホームがある、新幹線にはおなじみの配線だ。出入口は北口と南口があり、早稲田リサーチパークは南口を降りると目の前に広がる。 気になるのは、本庄高等学院の生徒たちは、ほとんどが新幹線通学をしているのかどうかということだ。本庄市市街地整備室に話を聞くと、「東京などから通学している人もいますが、本庄早稲田駅と本庄駅の近くに寮があり、本庄駅から出るスクールバスで通っている人もいます」とのことだった。
開業後しばらくは、早大のイメージが強かったこの本庄早稲田駅に転機が訪れたのは、2012年のことだった。群馬県に本拠を置くベイシアグループのホームセンター、カインズの本部が、群馬県高崎市から移転してきたからだ。 ちなみにこの地域は、自動車交通の便もよい。本庄早稲田駅の西側には、関越自動車道本庄児玉インターチェンジがあり、直交する国道462号線は坂東大橋で利根川を越え、グループ内のワークマンが本社を構える伊勢崎市に延びている。