「五感に響く」オルゴール、耳の不自由な人も触れて感じる…認知症の高齢者には「まるで音の点滴のようだ」
振動楽器を開発するきっかけとなったのは8年ほど前、オルゴールや楽器など様々な音色が披露される音楽会に参加した聴覚障害者から聞いた言葉だった。この障害者は様々な音色の中から「オルゴールの音は聞こえた」と話したという。
オルゴールの音は耳の不自由な人にも届きやすいのではないか――。岩満社長はそう考え、音に加えて振動も楽しめる振動楽器の開発に着手。完成させ昨年、4万円(音が出るシリンダー除く)で販売を始めた。岩満社長は、オルゴールが出すある周波の音は脳幹などに響きやすく、それにより聴覚障害者にもオルゴールの音は聞き取りやすいのではないかと思っている。
オルゴールの音色を認知症の人らに聴いてもらう取り組みを行う施設もある。山口県宇部市のある高齢者施設がその一つで、2018年から、レクリエーションの時間にオルゴールを流している。
施設代表の杉山和代さんによると、オルゴールを聴いた利用者が涙をこぼしたり、歌ったりすることがあるという。杉山さんは「オルゴールを聴いて思い出がよみがえったり、一緒に歌って元気になったりする人がいる。まるで音の点滴のようだ」と話す。
バイオベル社の岩満社長は「これからも多くの人が音楽の楽しさを知り、人生を豊かにするきっかけをつくっていきたい」と話し、今後も人を笑顔にするオルゴールの開発に取り組んでいきたいと思っている。