年代別、地域への溶け込み……「移住人気トップ」長野の取り組み
県内市町村の壁を超えた協力構築がカギ
原克彦課長補佐は、今後の戦略のポイントについて「単独で努力するだけでなく、広い地域の多くの自治体が互いに情報を共有したり、それぞれの利点を利用し合うなど広域的に取り組むことが重要になってきます」と指摘します。例えば農村地域の自治体に移住する人には、近隣の工業地域の自治体が就労のための情報を提供するなど、行政の壁を越えた協力と助け合いが「より良い移住の条件を生み出すことができるはず」と期待。協調態勢への県の支援にも取り組む方針です。 こうした多面的な動きについて、ふるさと回帰支援センターの嵩和雄(かさみ・かずお)副事務局長は「移住への若者たちの関心は高まっています。まずリーマンショックの不景気で地方に活路を求めざるを得なくなったため。そして震災で東京や西日本に住むことの不安が生じたこともあります。不動産情報だけで気に入って移住したもののトラブルなどで失敗というケースもあり、こうした行政や関係団体の窓口などを丁寧に利用してほしい」と話します。
生活の場を移すことで環境や風習、決まり事、行事や地域防災組織への参加の有無など身の回りが大きく変わり、あこがれだけでは実現しないこともある移住生活。積極的な姿勢の行政やNPOなどの窓口を利用して住宅や仕事、医療などさまざまな課題も含め一つ一つ検討していくことが移住希望者側の要点とも言えそうです。
----------------------------------- ■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説