年代別、地域への溶け込み……「移住人気トップ」長野の取り組み
都市からの移住先人気でこのところトップの座を占める長野県。首都圏に近い地の利もあって山梨県とともに他県勢をリードしています。しかし、人気の理由はそれだけではなく、きめ細かい相談態勢、積極的な情報提供、NPOなど関連団体との強い協調など多角的な対策にあるようです。一過性の地方移住ブームの懸念もある中で、希望者も受け入れ側も納得する移住プランはどう作られるのか。長野県などの取り組みを見てみると……。 【写真】地域おこしで長野の山間地に「鉄道模型館」 大阪から移住の元スーパー店長
移住先人気ランキングでほぼ毎年トップ
移住先の人気アンケートでは“常勝”と言ってもいい長野県。認定NPO法人・ふるさと回帰支援センター(東京・千代田区、見城美枝子理事長)の「移住したい都道府県」のアンケートでは2011(平成23)年から3年連続トップを占め、2014年に山梨県にトップを奪われて2位になったものの2015年には1位に「戻った」。 トップだった2014年を挟んで2013、15年に2位を占めた山梨県は、長野県と同様、首都圏に近い立地を生かしての健闘ともみられています。 ただ、「立地だけが有利」と言い切れない動きも出始めました。岡山県は2012年に前年の10位以下から2位に急上昇。13、14年も連続で3位を占めました。14年に8位だった島根県は15年に3位にアップ。15年に6位の広島県は前年の18位からの大幅アップです。 こうした活発な動きについて同センターは、単なるPR作戦から抜け出した自治体の本格的な戦略スタートの反映と分析。島根県については「県、市町村や定住財団の三位一体の移住者受け入れ体制の構築が実を結んだ」と見ます。 広島県についても「他県に先駆けた相談窓口の開設や起業支援、移住専用のサイトの開設などが功を奏した」。15年に4年ぶりに10位以内の8位に入った秋田県は「Uターンに特化した粘り強い取り組み」があったとしています。 また、各県のブースがある同センターへの移住相談は2014年の1万2430件が2015年には2万1584件へと倍近く増えました。その背景として同センターは、各県や市町村などの自治体の移住相談会やセミナーがこのところ毎年300回を超す盛況を示していることと、同センター内に相談員を配置する自治体が前年の5県から29県に急増したことなどを挙げています。NPOと行政の強まる連携がうかがえます。 少子高齢化、過疎、人口減少、村落の衰退など深刻な「地域崩壊」の予兆に危機感を強めた地方自治体が、東京一極集中の解消などを目指す政府の地方創生施策にも呼応しながら、真剣に対策に乗り出し始めたとも言えそうです。