年代別、地域への溶け込み……「移住人気トップ」長野の取り組み
首都圏から好アクセス、支援体制整う
トップを走る長野県の対策も同様です。長野県地域振興課、楽園信州・移住推進室の原克彦課長補佐は、長野県の人気の背景として「首都圏からのアクセスの良さに加え、市町村の移住支援態勢が整っていること、自治体の空き家バンクなどさまざまな取り組みが進んでいること、などがあります」と、多彩な対策の展開を挙げます。 長野県では、市町村と県が連携して毎年10回も移住関連のセミナーを開いたり、県がJRと提携して長野県東部の佐久市の住宅地に首都圏などからの地方都市体験ツアーを実施するなど知恵を絞っています。佐久市は軽井沢にも近い都市で北陸新幹線の駅もあり、好条件を生かす狙いです。
若者、中高年で異なる移住へのニーズ
同県の16年度の新規事業を見ると、信州らしいライフスタイルを発信する国際会議の開催や、農業体験を含む「農ある暮らし」の講座の開催、移住者と地元をつなぐ「移住コンシェルジェ」を登録してもらって移住者の地域への溶け込みを支援する――などが目につきます。相談業務など移住希望者の取っ掛かりとなる機会を増やす一方、移住希望者の期待や不安に応える「ソフト」面の事業にも手を伸ばし、移住促進事業を多角的、重層的にしようとする方向性がうかがえます。 この結果、県や市町村など行政があっせんして長野県に移住した人の数は2013年の510人から翌年には763人へと250人余も増えました。移住者は首都圏の389人を最多に、中京圏112人、関西圏68人などとなっています。 また若者たちと中高年層では移住の目的や抱くイメージが異なるため、年代別の施策も設定。10~20代には県内の企業の説明会や求人情報などこれから踏み出す就職の機会としての長野県をアピール。結婚などが現実化する30~40代には転職相談、空き家バンクによる住宅の紹介、職業体験、Uターンなどへの助成金の案内などを用意。退職前後の世帯には「農ある暮らし」の入門研修なども打ち出しています。