【竹下玲奈さんの「コンバースのスニーカー」】娘に受け継ぎたいけど、まだ受け継ぎたくないもの
Dear my Love…:竹下玲奈さんの娘に受け継ぐものがたり
vol.6:コンバースのスニーカー ▶何より受け継ぎたいけれど、まだ受け継ぎたくないもの 「現在所有しているこの17足は、ユーズドで買ったものと新品で買ったものが半々くらい。それぞれのお気に入りポイントを語り始めたらこの連載にはおさまりきらないので、それはまたの機会に! 以前は味があればあるほど好きだったコンバースが、なぜか最近は、“新品のきれいさ”に、無性に惹かれるんです。私の中の“コンバースユニバース”の広がりを感じています」──竹下玲奈さん 私とコンバースの出会いは、モデルを始めたばかりの中学3年の頃。当時お仕事をしていた、雑誌『プチセブン』の撮影現場だった記憶があります。’90年代半ばのあの頃、スーパーラバーズというブランドがブレイクしていて、“しましまのソックスにコンバース”といったスタイルが大流行。そう、私のコンバースの入口は、この写真が裏付けているように、アメリカンロックだったんです。 若い頃は、一足をボロボロになるまで履いては買い替えていました。靴底がはがれたら接着剤でくっつけて、それでもダメなら諦めるといった具合に。すごい粘りですね(笑)。大人になって複数足をローテーションできるようになり、一足にかかる負担が減って、結果、コレクションになったというのが、この写真を生んだ背景です。 さて、この大量のコンバース、娘はどう思っているのでしょうか。これを機に、聞いてみることにしました。「う~ん、いっぱいあるね。全部は履けないって思う」。それが第一声(笑)。はい、そのとおりなんです。全部はくまなく履けなくて、正直、何年も履いていないものもある。でも一足一足に、それぞれの思い出があるから、どうしても手放せない。そして本当に不思議なことに、この中の一足たりとも、まだ娘には譲りたくないと思っている自分がいるのです。 コンバースは時空を超えた存在だと、折に触れて思うことがあります。どこからか出てきた’60年代のデッドストック、現代アーティストとのコラボ、メイドインジャパンのリバイバル。そう、時間も場所もごちゃ混ぜになった宇宙のような存在。小さかった娘の足はいつの間にか24.5㎝になり、私が持っているものの中で何よりもすぐ受け継げるものだというのに。私の中の複雑な気持ちとコンバースのカオスのような宇宙が、どうやら重なっているようです。いつか娘にコンバースの思い出を語れるようになったら、そのときが、受け継ぐタイミングなのかもしれません。
●竹下玲奈 Rena Takeshita モデル 1981年、鹿児島県生まれ。14歳でデビュー以来、トップモデルとして活躍。群を抜いたセンスに業界内のファンも多く、“モデルが憧れるモデルNo.1”との呼び声が高い。『LEE』では、モデルとしてはもちろん、その愛情あふれるライフスタイルが読者の心をつかんでいる。 Staff Credit スタイリング/竹下玲奈 撮影/長山一樹(S-14) 取材・原文/磯部安伽 こちらは2024年LEE10月号(9/6発売)「竹下玲奈さんの娘に受け継ぐものがたり」に掲載の記事です。