おわら版画に気品と風情 12日から富山・八尾で林秋路没後50年展、次女保管の逸品展示
おわら風の盆を題材とした数多くの版画作品を手がけた板画家、林秋路(あきじ)(1903~74年)=富山市八尾町上新町=の没後50年に合わせ、温かみあふれる作品50点以上を集めた特別展が、同所の八尾曳山展示館で開かれる。秋路の功績を伝えようと企画し、おわらの踊り手などを描いたはがきの原画や風の盆のPRポスターなど多くの作品が初展示となる。同市八尾町中心部の芸術イベント「坂のまちアートinやつお」が開かれる12~14日まで。 秋路は20代から版画制作を始め、おわらの踊り手や伴奏者などを繊細なタッチで描き、「風の盆」の情感を表現。北陸タイムス(北日本新聞の前身の一つ)で八尾の風景をスケッチした作品を連載した。風の盆のPRポスターに多くの作品が採用され、おわらの町・八尾のPRに貢献した。 特別展に合わせ、秋路の次女、淑子さん(90)が八尾の自宅で保管していた作品を越中八尾観光協会(鈴木聡会長)が借り受けた。編みがさを着けた男女の踊り手を描いた作品や、気品ある美人画などが並び、風情ある町の雰囲気が感じられる。越中八尾曳山祭や「麦屋節」を題材にしたものもある。
秋路の作品の保全や修復に尽くし、一部作品を寄贈したとして、同協会は11日、淑子さんに感謝状を贈った。「鏡町楽しくおわらをせんまい会」のメンバーが、秋路が晩年に作ったおわら歌を披露し、足跡をしのんだ。淑子さんは「展示をゆっくりと見て回ってほしい」と話した。 八尾曳山展示館の入館料は大人500円、小学生から高校生まで300円。12日は午前10時から、同会が秋路のおわら歌詞を演奏に合わせて披露する。