井上尚弥は米国で試合をするべきか? その疑問をリング紙元編集人が一刀両断
■井上尚弥は日本国外で試合をしたことはあるか?
この話題が奇妙に感じられるのは、井上はすでにアメリカとイギリスで「計4回試合をしている」ことである。パウンド・フォー・パウンドでライバルとされるアメリカ人ファイターたちの誰よりも、井上は海外遠征を経験済みなのである。 2017年9月、井上は米国カリフォルニア州カーソンのスタブハブ・センターで行われた『SUPER FLY』に登場した。初めての海外遠征で、5ラウンドを通して後退を続けるアントニオ・ニエベスを追いかけた結果、6ラウンドで挑戦者の棄権によりWBO世界スーパーフライ級タイトルの防衛に成功した。 3年後、井上は米国ネバダ州ラスベガスで、人気オーストラリア人ボクサーのジェイソン・モロニー(5月6日東京ドームで武居由樹が挑戦)と対戦し、7回ノックアウト勝ちでIBF、WBA、そしてリング誌バンタム級タイトルを防衛した。 井上が最後にアメリカでリングに上がったのは2021年6月、やはり舞台はラスベガスだった。ここでも井上は圧倒的な強さを見せつけ、マイケル・ダスマリナスを3回KOで一方的に下した。 井上が英国で戦った唯一の試合は、2019年5月の『ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ』(WBSS)バンタム級トーナメント準決勝である。スコットランド・グラスゴーで行われた試合で、井上はそれまで無敗を誇っていたマヌエル・ロドリゲスを2回KOに沈め、バンタム級の世界王座を2つ獲得した。
■井上尚弥は日本でどれだけ稼いでいるのか?
英日刊紙『The Sun』の記事によると、井上は2023年12月の時点で700万ドル(約10億8272万円、1ドル154.68円為替レートで換算、以下すべて同じ)の資産を持っていた。 7月のスティーブン・フルトンを相手にしたWBA/WBO世界スーパーバンタム級統一タイトル戦において、井上のファイトマネーは500万ドル(約7億7328万円)だったと報じられている。 次戦となるルイス・ネリとのタイトル戦で井上が受け取るファイトマネーの金額は公表されていない。しかし、トップランク社のエヴァン・コーン氏がX(旧ツイッター)上で、この試合の入場料収入は「2000万ドル(約30億9326万円)を超える」と述べている。試合が行われる東京ドームの最大収容人数は約55000人である(関係者によると、角度や視界の面で観戦に不都合がある席は販売しないため、最大4万人台の動員になるとされる)。