井上尚弥は米国で試合をするべきか? その疑問をリング紙元編集人が一刀両断
■井上尚弥はアメリカで試合をするべきか?
結論から述べると、答えは「ノー」だ。 1970年中頃、モハメド(モハメッド)・アリは唯一の米国生まれのボクシング世界王者だった。しかし、ほかの世界中の多くのファイターは自国ではなく、アメリカで試合をすることを望んだ。なぜなら当時、米国こそがボクシング界で最も金を稼げる場所だったからだ。 パナマ出身のロベルト・デュラン、ニカラグア出身のアレクシス・アルグエロ(アルゲリョ)、プエルトリコ出身のウィルフレド・ゴメスなど、ボクシング殿堂に名を刻むであろう他国生まれの大物ファイターたちが、確かにボクシングの『メッカ』であるアメリカで大金を稼いだ。 唯一の例外はアルゼンチン人のミドル級王者、カルロス・モンソンだ。モンソンはキャリア100戦のうち、たった1試合のみをアメリカで戦った。 しかし、時代は変わった。アメリカは依然としてボクシングの本場ではあるが、井上をはじめとして世界王者の誕生が相次ぐ日本と、拡大を続けるマッチルーム・ボクシング社が拠点を置く英国の存在は大きくなっている。さらに、サウジアラビアが経済力を背景にビッグマッチを開催することが多くなった。 井上は間違いなく世界最高のファイターであり、パウンド・フォー・パウンドのスーパースターだ。彼の強さは母国で育まれたものである以上、その環境を変える義務は「一切ない」。 原文:Tom Gray「Does Naoya Inoue need to fight in the US? Pound-for-pound boxing star is unconvinced」 翻訳:角谷剛 編集:スポーティングニュース日本版編集部 神宮泰暁
スポーティングニュース(原文:Tom Gray、翻訳:角谷剛)