野村佑希が新しい主砲になる2025。開幕4番指名こそモチベーター新庄監督の真骨頂【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#238】
この時期に発表する狙い
読者の多くは知らないと思うけれど、記事のタイトルは(大概の場合)著者じゃなくて、担当編集者がつける。当コラムも担当のT川さんが読者の興味をひきそうなタイトルつけてくれて、いつも感謝している。「僕らは忘れないようにしよう」に含意はない。野村佑希は骨折でリタイアしただけで、死んでなんかいない。長期離脱しても、あの輝きを忘れないようにしよう。戦列復帰したとき、あの「つづき」を見せてもらおうということだった。 だけど、野村が「ファイターズの新しい主砲」になる日は遠かったのだ。守備の不安もあいまって、不振をかこつ日々が続く。2024シーズンは清宮が出遅れ、サードのポジションを奪うチャンスだったが、郡司裕也に先を越された。(言霊信仰みたいな話をするつもりはないが)ブーイングを浴びた「目の覚めるような野村佑希の活躍を、僕らは忘れないようにしよう」はタイトル通りになってしまった。 野村佑希が幸せなのは、首脳陣も仲間もファンも皆、彼の魅力を忘れていないことだ。もっとシンプルに「信じている」と言ってもいい。僕もCSの原稿のどこかに野村佑希の名前を入れ続けた。フェニックス組は呼び戻されにくいかなと思っても、彼は野村佑希なのだ。代打の1打席でどんなドラマを巻き起こすかわからない。 いや、正直に言えば「野村佑希」の名前を書きたかったのだ。新庄監督の「開幕4番」は胸のすく思いだった。世の中には心配性の人がいて、「今から言われたら調整が難しい」とか「重圧に潰されてしまう」とか不安材料を挙げる。僕はプロが本当に怖れるのは「期待されなくなったとき」「忘れられたとき」だと思う。重圧があるから生き甲斐があるのだ。 万が一調整がうまく行かなかったり、キャンプでケガをしたら「次のチャンスに賭ける」でいいじゃないか。肝心なのは野村が(そして、金村、齋藤、田中が)気持ちをたぎらせてオフを過ごし、新シーズンの準備をすることだ。僕は野村佑希に燃えてほしい。しかし、この辺りはモチベーター新庄剛志の真骨頂だなぁ。 えのきどいちろう