都心を低空飛行「羽田新ルート」安全対策で求められること
2020年春から運用開始される羽田空港の新飛行ルートを実際に小型機が飛ぶ飛行検査が8月30日に始まりました。羽田空港の国際便増便に向けた対策で、これまでの海側からの離発着ではなく、都心上空を低い高度で飛ぶことになります。そのため、新しい飛行ルートでは騒音や落下物事故の懸念が取り沙汰されています。どんな安全対策が取られ、今後必要なのか。航空ジャーナリストの藤石金彌氏に寄稿してもらいました。 【画像】羽田空港の新ルートは東京都心を超低空飛行 騒音や落下物の危険も
超高層ビルエリアを低空でアプローチ
開幕が1年後に迫った東京五輪・パラリンピックで増大が見込まれる航空需要に向けて、羽田空港の新着陸ルート開設をはじめ、成田空港の発着時間の深夜延長、米軍管制下にある横田空域での旅客機通過の日米合意など、さまざまな対応策が進められている。 国土交通省は8月8日、羽田空港の国際線を増便するための新飛行ルートについて、2020年3月29日から運用を始めると正式に発表した。7日に開いた首都圏関係自治体の協議会で東京都、神奈川県などが導入に理解を示したことを受けたものだ。
現在の飛行ルートである、東京湾上空で海側に到着し、海側から出発する方式では東京五輪とパラリンピックによって増大する航空需要を賄えないとして、持ち得る最大の航空資源を活用し、便数を増やすための滑走路の使い方や飛行ルートを検討していた。 その結果、南風時に都心側から接近・着陸し、海側(川崎沖・木更津沖)へ離陸・出発するのが最も効率的であるとした。 具体的に、羽田空港に着陸する旅客機は、練馬上空から進入角度3.5度でほぼ一直線に降下していき、新宿上空は高度約1037メートル、渋谷・麻布は約701メートル、大井町は約335メートルと高度を下げ、羽田空港A、C滑走路に着陸する(高度は進入角度3.5度に引き上げ後の高度)。時間帯も午後3時~7時までの間に限る。この新飛行ルートでは、米軍が航空管制する横田空域を通るため、練馬区の一部を通過することと、通過中に日本側が一元的に管制することへの合意が今年1月に日米間でなされている。