東部ブフレダルが陥落の瀬戸際に ウクライナ、戦線拡大で厳しい代償
2022年2月にロシアがウクライナに対する戦争を拡大してから2年7カ月の間に、戦況は一進一退を繰り返してきた。 ロシア軍は最初、ウクライナの首都キーウに向けて性急に進軍したが、補給線が追いつかず、南部と東部に傾注することを余儀なくされた。ウクライナ軍は2022年秋、東部で反転攻勢に成功する。しかし翌2023年の夏、主に南部で行った2度目の反転攻勢は、ロシア側の稠密な地雷原に阻まれて行き詰まった。 数カ月後、ロシア軍は東部で新たな攻勢を始め、大きな損害を出しながらも着実に前進してきた。ウクライナ軍は今年8月、ロシア西部クルスク州に奇襲侵攻を仕掛けて対抗した。 こうしためまぐるしい動きがありながら、ウクライナの戦線には「不動」の場所が少なくとも1つあった。東部ドネツク州の都市ブフレダルだ。その時点でどちらの側が優勢であろうと、ブフレダルは持ちこたえた。戦争拡大前には炭鉱業が盛んで、1万4000人ほどが住んでいたブフレダルはすぐに、守備隊であるウクライナ陸軍第72独立機械化旅団の要塞になった。 だが、この要塞都市がいま、陥落の瀬戸際にある。ロシア軍は25日午前、ブフレダルを砲爆撃し、強襲した。過去に何度もあった攻撃と異なり、今回の攻撃は成功しているようだ。 ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトの創設者であるタタリガミ(@Tatarigami_UA)は「ブフレダルの状況が危機的なのは明らかであり、われわれはおそらくその防衛の最終段階を目にしている」とソーシャルメディアに書いている。 タタリガミはそのうえで「土地を保持したいという強い思い以上に軍人たちの命を優先した、正しい命令が下されていることを願うばかりだ」と続けている。 実際にそうした命令が出されている兆候がある。先週、ロシア軍がブフレダルの両側面を脅かすなか、T-64戦車やBMP-2歩兵戦闘車、M-109榴弾砲を装備した2000人規模の第72機械化旅団は、より防御しやすい陣地へとひそかに退却し始めたもようだ。