「デートカーとかウケる」とか笑わないで! 「アラ古希」「アラ還」の昭和オヤジがデートしまくった鉄板モテ車たち
初代ゴルフもデートカー! 国産はやっぱりクーペが人気
まずは、1975年に輸入車ディーラーの老舗中の老舗、ヤナセが輸入販売を開始した初代VWゴルフである。 まだ若者がクルマを乗り回せる時代ではなかったものの、いわゆるお坊ちゃまが親に買ってもらった愛車としても一大人気(それだけの需要ではなかったが)。ガイシャに乗っている感、というよりヤナセのクルマに乗っているというハイライフハイスタイルなイメージもあり、そのカブリオは都会の女子大生の愛車としても一世風靡。 筆者も白いカブリオを颯爽と乗り回す、青学に通う原宿在住の女子大生とお付き合いしていたものだ(筆者は世界のコンパクトカーのベンチマークであり続けるVWゴルフIIを1984年に購入。2014年からはVWゴルフヴァリアント7、7.5に現在まで乗り続けているゴルフファンでもある。余計な話ですいません)。 そして、1970年代の昭和な街並みをスタイリッシュに彩ってくれたのが、いすゞ117クーペ(1968~1981年)だった。流麗な2ドアクーペのスタイリングはカロッツエリア・ギアのジウジアーロによるもので、初期はハンドメイド。このクルマも、いまから思えばデートカーとしての資質十二分。まさにカップルのためのクルマだったのだ。 じつは、筆者の最初の愛車が中期型、丸目ヘッドライト最後の、オーディオが8トラック(死語)からカセットテープになったパルティノンアイボリーの1976年型であった。もちろん、湘南、軽井沢、相模湖、伊豆あたりへ、ユーミンのカセットテープのBGMとともにドライブデートしまくった、多くの思い出が記憶に残る1台である(サイドウインドウは手回し式。クーラーはOP)。 その後継車といっていい、117クーペ同様ジウジアーロデザインのいすゞピアッツア(1981~1991年)の初代モデルも、デートカーとは呼ばれなかったはずだが、デートドライブに最高のクーペだったように思う(筆者も117クーペから乗り換え)。 1990年代にホットドッグプレスでクルマ連載(デートカー含む)を執筆することができたのも、そうしたデートカーに乗ってきた経験があるから(?)なんて勝手に回想しているところだ。 というように、かつての国産デートカーの基本は、スタイリッシュな2ドアクーペということになる(ガイシャを除く)。 現在では絶滅危惧種になりつつあるカテゴリーのクルマではあるものの、ジャパンモビリティショー2023で参考出品された新型ホンダ・プレリュードは2025年中にも復活するという噂で、令和の時代のデートカー(と呼ばれるかはともかく)として登場する可能性大。 SUVやコンパクトカー、スーパーハイト系軽自動車ばかりが売れる時代に、プレリュードのようなスタイリッシュクーペが復活し、デートカーという文化が復活してくれることを、いまではデートなんて無縁のボクもまた、密かに願っている……。
青山尚暉