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端島を映像化!映画規模の撮影
連続ドラマでは初となる、在りし日の端島の映像化も話題を呼んでいる。実際の端島でのロケは難しいため、製作陣は、ロケとセット、VFXを多用して島の映像化に挑んだ。第1話でリナが端島音頭を歌う階段が印象的な“端島銀座”と呼ばれる道は、セットで再現されている。 新井は「セットを建てる場所を探すだけでもかなりの時間がかかりました。撮影が長期にわたるので、しっかりとしたものを作るのが本当に大変で。リナが端島音頭を歌うシーンでは、300人ぐらいのエキストラに集まっていただいたのですが、その方々の着替えだけでも2時間くらいかかっています。また、端島には緑がないのですが、そんなロケ場所を探すのも不可能に近い(笑)。VFX も多用していて、みんなに“映画並みだね”と言われます」と苦労を明かす。
端島に存在した映画館やビリヤード場、美容院なども登場。「最初は写真だけのイメージカットで紹介するという考えもあったのですが、塚原監督が実写で撮りたいとこだわられて、ワンカットのために装飾をして再現しました。美術スタッフの皆さんも、毎日数台のトラックでやってきて作業してくれていて。本当に頭がさがります」(新井)
11月3日に放送される第2話では、端島を襲う台風のシーンも見どころ。「これも本当に大変でした(笑)。まる一日かけてシャワーのような降雨機を設置して、セット横に雨を降らすための水を溜めておくプールも設置して。とにかくすごい水の量なので、撮影の合間に(体を)乾かすこともできないんです。撮影は夏でしたが、キャストの皆さんもすごく寒かったみたいで、足湯につかりながらやっていただきました。その苦労の甲斐があって映像は迫力満点です!」
グラデーションのように変化する物語
いづみと玲央の謎も気になるが、本作の見どころは、激動の時代のなかで変化していく、端島に生きる鉄平たちの青春や恋愛模様、そして現代とのつながりをめぐる多彩なドラマだ。新井は「神木さんがよく言っているのですが、それこそ、“ちゃんぽん”のようなドラマになっています。本当にたくさんの要素が含まれていますし、(登場人物の)誰もが主役になれるストーリーになっているので、誰かに共感して観ていただければ」と語る。 エピソードを重ねるごとに、物語もグラデーションのように変化していくといい「前半はハッピーな青春感あふれる雰囲気ですが、これからさまざまなことが起きて、鉄平たちの人生が思いもよらぬ方向へと向かっていく。中盤に差し掛かるにつれて違うドラマが始まったかのような、激動の人生と人間模様を描いていきます」という新井は「考察をしながらでも、気にしないで観ていただいてもいいんです。ラブストーリーに興味を持っていただける方もいるでしょうし、鉄平と(父親の)一平の関係に興味がある人もいると思います。自分の共感できるポイントで、お一人でも、家族みんなで見ても楽しんでいただける作品になっています」と自信をのぞかせた。(編集部・入倉功一)