“新時代”に突入したBリーグ 渡邊雄太も参戦する新シーズンの「注目ポイント」を城宝匡史が解説
10月3日にBリーグが開幕します。今、日本のバスケットボール界で最も注目されているのはやはり日本代表選手たちでしょう。昨年のワールドカップから今年のパリ・オリンピックにかけて、彼らの活躍がファンの間で大きな話題になっていました。バスケットボールにあまり詳しくない人々も、渡邊雄太選手をはじめとする代表選手のプレーに関心を寄せているのではないでしょうか。彼らのパフォーマンスが、バスケ界を盛り上げる原動力となっているのは間違いありません。 【動画】流れを大きく変えた豪快ダンク! 渡邊雄太のファインプレーを見る Bリーグには24チームがあり、それぞれ多くの選手が在籍しています。国内リーグであまりプレータイムを得られない選手が移籍して、新たなチームでどれだけ活躍できるのかも、ファンにとっては興味深いところです。 例えば、吉井裕鷹選手がアルバルク東京から三遠ネオフェニックスに移籍し、プレータイムを求めて新しい挑戦をしています。また、渡邉飛勇選手もB1の琉球ゴールデンキングスからB2の信州ブレイブウォリアーズに移籍しました。パリ五輪での吉井選手の献身的なディフェンスや渡邉飛勇選手のブロックは印象に残っている方も多いのではないでしょうか。ただ彼らのような国際的な舞台で通用する実力がある選手でも、外国人選手との兼ね合いで出場機会が制限されることも多い。そうした背景から移籍を決断し、プレータイムを確保するために新たなステージに挑んでいるんです。 そして、最も注目されているのは千葉ジェッツに加入した渡邊雄太選手のBリーグ参戦です。NBAやGリーグで活躍してきた彼が、日本のBリーグでどんなプレーを見せるのか。BリーグとNBAではルールやプレースタイルに違いがあり、その適応がどう進むのかがポイントです。いずれにせよ、渡邊選手の加入により、特に東地区はさらに競争が激しくなるでしょう。 一方で、Bリーグ全体としては、資金力の差がチームの競争力に大きく影響を与えています。渡邊雄太選手のような高額選手を迎え入れられるチームは限られており、千葉ジェッツやアルバルク東京、長崎ヴェルカなどがそうしたチームの代表格でしょう。近年では1億円以上の年俸を受け取る選手も増えており、Bリーグは以前に比べて大きく成長しています。 昇格チームについては、越谷アルファーズや滋賀レイクスがB2からB1に上がってきましたが、昇格したばかりのチームがすぐに成功するのは難しい。特に滋賀は天皇杯でB3チームに敗れるなど、苦戦しています。予算削減の影響もあり、今季の成績がどうなるかは注目ポイントのひとつです。 コーチ陣の育成も日本バスケット界の大きな注目点です。現在、Bリーグでは外国人コーチが多く、日本人コーチの数は限られています。日本バスケットボールの未来を見据えると、日本人コーチの育成が急務でしょう。日本のバスケットボールにおけるコーチの育成はまだ遅れており、Bリーグの24チーム中、日本人ヘッドコーチは10人に過ぎません。外国人ヘッドコーチが多い中、日本人コーチがどんな戦い方をしてくるかは注目です。 さらに、現在多くのチームがアリーナを建設している動きも非常に好ましい傾向です。屋内スポーツの需要が高まりつつある中で、バスケットボール以外にもバレーボールやコンサートなど多目的に利用できるアリーナが増えるのは、チームや地域にとっても大きな利点です。総じて、Bリーグは選手の動向、チームの競争力、コーチの育成、そして施設の整備という多方面で発展を続けています。日本のバスケットボールは、今後ますます面白くなっていくはずです。 [解説:城宝匡史(じょうほう・まさし)]1982年4月24日生、北海道出身。現役時代は大阪エヴェッサを皮切りに9クラブでプレー。2011年から在籍した富山グラウジーズでは3度のベストファイブとレギュラーシーズンMVPを受賞した。現在は指導者、解説者として活躍中。