税務署に絶対バレる「過少申告」の末路…申告納税額500万円を「300万円」と偽った場合の“追徴税額”【税理士が解説】
税務調査で過少申告がバレた場合のペナルティ
過少申告がバレると、ペナルティとして「過少申告加算税」と「延滞税」が課されます。 ■過少申告加算税 日本では、納税者が自ら税務署に所得などを申告して納税額を決定し、納税を行う申告納税制度が採用されています。加算税とは、申告業務が適正に行われていない場合に科せられるペナルティとしての意味合いをもつ税金です。 過少申告加算税は、法定期限までに納めた申告納税額が、本来の納税額よりも少なかった場合に課せられます。過少申告加算税の税率は、追加で納税する税額の10%です。ただし、期限内に申告した額と50万円のいずれか多い金額を超える部分についての税率は、15%となります。 例えば、当初申告した税額が300万円、修正後の課税額が500万円だったと仮定します。この場合、不足分の税額は200万円です。期限内に申告した300万円は50万円より多いため、このケースでは200万円の10%、つまり20万円が過少申告加算税の額となります。 また、当初申告した額が100万円、修正後の課税額が500万円だった場合は、不足分の税額は400万円です。この場合は、100万円までは10%、残り300万円については15%の税率がかけられ、合計55万円の過少申告加算税の支払いが求められることとなります。 ■延滞税 延滞税とは、期限までに税金が納付されない場合にペナルティとして、利息に相当する税金の納付が課せられるものです。 延滞税の税率は、令和6年の場合、納期限の翌日から2ヵ月を経過する日までは年2.4%、2ヵ月を経過した日以降は8.7%となります。また、法定納期限の翌日から納付が完了する日まで課せられるため、修正申告が遅くなるほど課される延滞税の額は多くなるのです。
過少申告のペナルティを軽減するには?
過少申告をした場合、ペナルティが科せられます。しかし、過少申告をしていてもペナルティを避けられるまたは軽減できるケースがあります。それは、自主的に修正申告をすることです。 【方法(1)】自主的に修正申告をする 税務調査が行われる前に自主的に修正申告を行い、正しく申告をし直せば、過少申告加算税が課されることはありません。申告額が少なかったという自覚がある場合には早めに修正申告を行うようにしましょう。 ただし、税務調査を受ける前でも、事前通知を受けてから修正申告を行った場合は、過少申告加算税を避けることはできません。しかしながら、事前通知を受けてからでも自主的に修正申告を行った場合は、過少申告加算税の税率は50万円までは5%、50万円を超える部分については10%に軽減されます。 【方法(2)】税理士に相談する 過少申告をしてきた場合、税務調査で過少申告を指摘され、修正申告を行うとなると過少申告加算税と延滞税の納付が必要となります。過少申告であるにもかかわらず、放置をしておけば延滞税がかさみ、納税の負担はどんどん大きくなるでしょう。 ペナルティを避けるためにも、過少申告の状態にある場合にはできるだけ早く自主的に修正申告を行うことが大切です。しかしながら、長く過少申告を続けてしまった場合などは修正申告書を作る負担も大きくなります。修正申告までの時間が長くなればその分延滞税も増え、修正申告の準備をしている間に税務調査の連絡が入ってしまう可能性もあるでしょう。確実な申告書をできるだけ早く作成するためにも、税理士への相談をおすすめします。
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