この水に100万市民の命がかかっていた…ローマ帝国の水道「驚愕の精密さ」
100万人の市民を潤した水道
見れば見るほど、知れば知るほど圧倒され、驚嘆させられる古代ローマの建造物、技術は少なくないが、なんといっても圧巻は「水道」ではないだろうか。 現代においても、日常生活を送るうえで、まず第一に必要なのは水であるが、古代ローマの市民生活を支えたのも水道だった。人口増加に伴い、ローマ市内に通じる水道は紀元前312年に建設されたアッピア水道にはじまり、紀元226年に建設されたアントニアーナ(アレクサンドリナ)水道まで、計11ルートが建設された。その11ルートの内容を「ローマ水道11ルート一覧」にまとめる。これら古代の水道の多くは、いまなお実際に水を供給し続けているというから驚くほかはない。 ---------- ローマ水道11ルート一覧 名称/建設年/全長/水源/水源地高さ/ローマ市内高さ/1日あたりの送水量 アッピア/312BC/17km/湧水/30m/20m/73,000m³ 旧アニオ/272BC/64km/アニオ川/280m/48m/175,920m³ マルキア/144BC/91km/湧水/318m/59m/187,600m³ テプラ/125BC/18km/湧水/151m/61m/17,800m³ ユリア/33BC/22km/湧水/350m/64m/48,240m³ ヴィルゴ/19BC/21km/湧水/24m/20m/100,160m³ ヴィルゴ/19BC/21km/湧水/24m/20m/100,160m³ アルシエティーナ/2BC/33km/マルティニヤーノ湖/209m/17m/ 15,680m³* クラウディア/AD38/69km/湧水/320m/67m/184,280m³ 新アニオ/AD38/87km/アニオ川/400m/70m/189,520m³ トラヤナ/AD109/33km/湧水/―/ ―/ ― アントニアーナ/AD226/22km/湧水/― /― /― *アルシエティーナ水道は、飲料不可 (出典:Wikipedia, 『Newton』2003年9月号) ---------- ローマ市近郊南東部に、紀元38年に建設されたクラウディア水道橋の一部(記事冒頭の写真、および「クラウディア水道橋の断面」)が遺っている。アーチの上にある導水路の内面には、漏水を防ぐために水で固まるモルタルが塗装されている。