食料品価格、2025年は高騰か-米新政権の通商政策がリスク
(ブルームバーグ): 世界的な食料価格の高騰により、今年は消費者の食料費がさらに増加する恐れがある。農業業界は、貿易の混乱が起こるリスクに備えている。
国連食糧農業機関(FAO)が算出する世界食糧価格指数は2024年、前年比約7%増と3年ぶりに上昇に転じた。この上昇が店頭での価格に反映されるまでには時間がかかる。指数はピークだった2022年を大幅に下回ってはいるものの、ここ数年の全般的な物価上昇圧力に苦しんでいる消費者に追い打ちがかかる可能性がある。
食料供給と価格が予測不可能な天候に左右されるのは常だが、今年は米国のトランプ次期大統領就任により、さらに不確実性が増しそうだ。トランプ氏は、米国に輸入される物品全般に関税を課す考えを示している。特に中国との貿易戦争が、食品の国際的な流通と価格にどのような影響を与えるかが重要な問題となっている。
FAOのエコノミスト、モニカ・トトバ氏は「不確実性は多く、政策の今後の方向性もその一つだ」と述べ、天候リスク、地政学、マクロ経済政策が25年の商品価格に大きな影響を与えるとの見通しを示した。
FAOによると、24年12月の食料価格指数は前月よりやや低下したものの、依然として23年4月以来の高い水準だ。24年は主に、パーム油の供給不足による植物油価格の上昇や、乳製品および食肉価格の上昇が指数を押し上げていた。
ラボバンクは同月、パーム油の不足は25年まで続き、価格を押し上げるとの予測を示した。また、トウモロコシと大豆市場では供給が十分な一方、小麦は供給不足になるとみている。
ただ、今のところ市場は、今月末にトランプ氏が就任し、米国の貿易戦略が明確になるのを待っている。
ラボバンクのアナリスト、カルロス・メラ氏とオラン・ファンドート氏はリポートで「米新政権の政策と、特に中国や欧州といった他の地域からの反応が、2025年の見通しを形作るだろう」と指摘。国や品目により、農家や食品加工業者の利益率に圧力がかかる時期は変化するとの見方も示した。