「経済安全保障」に欠けている「食料危機」という現実
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1月17日に行われた 岸田文雄首相の施政方針演説 では「経済安全保障」が語られたが、そこでは「食料安全保障」についての言及はなく、農業政策の目玉は“輸出促進とデジタル化(農業DX=デジタル・トランスフォーメーション、スマート農業)”が語られたのみだった。 食料や生産資材の高騰と、中国などにたいする「買い負け」(買値で他業者に負けて、買い付けができなくなること)が顕著になってきて、国民の食料確保や国内農業生産の継続に不安が高まっている。そんな今、前面に出てくるのが“輸出促進とデジタル化”とは、政府の危機認識力が欠如していると言わざるを得ない。 輸出促進を否定するわけではないが、食料自給率が世界的にも極めて低い37%(カロリーベース)という日本にとって、食料危機が迫っているときにまずやるべきは輸出促進でなく、国内生産確保に全力を挙げることであろう。
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鈴木宣弘