フライ級転向の寺地拳四朗が10月13日、王座決定戦のリングへ! ボクシングの集大成に向けて見る「夢」
今月13、14日の2日間、日本ボクシング史上初めて、世界戦7試合の2日間興行(『Prime Video Boxing 10』)が東京・有明アリーナで開催される。 【写真】トレーニングに励む寺地拳四朗 初日の13日、元WBC&WBAスーパー統一世界ライトフライ級王者で現WBCフライ級1位の寺地拳四朗は2階級制覇をかけて、同級2位のクリストファー・ロサレス(ニカラグア)と王座決定戦に挑む。現在国内では世界主要4団体すべて日本人が世界王者というバンタム級に注目が集まっているが、拳四朗の参戦で、ユーリ阿久井政悟(WBA)やアンソニー・オラスクアガ(WBO)が世界王者のフライ級も俄然目が離せなくなった。 ライトフライ級では安定王者と呼ばれた男は、フライ級でも主役になれるか。転向初戦でいきなり勝負をかける拳四朗に独占取材。トレーナーの加藤と二人三脚で歩む拳四朗を追った。(全4回の第1回) * * * 2024年9月3日――。 拳四朗の東京での練習拠点、三迫ジムを訪ねた。東武東上線・東武練馬駅の南側、下町情緒あふれる北一商店街を少し歩いた所にある三迫ジムは1960年創設。輪島功一はじめ1970、80年代の昭和期に、3人の世界チャンピオンを生んだ老舗ジムだ。2010年に改修された現在の建物はガラス張りの洒落た外観で、キッズコースの子供たちや健康目的の一般会員も多く通うが、かつてと同じように明日を夢見るプロ志望やランカーが多く所属し、タイトル保持者も多数輩出している。 「おひさしぶりです!」 インタビュー同日、著者よりも早くジムに到着していた拳四朗は、前回取材した一年前と同じように満面の笑みで挨拶し迎えてくれた。前回は2023年9月18日、ライトフライ級の防衛戦で元2階級世界王者のヘッキー・ブドラー(南アフリカ)と対戦した際の取材だった。試合は9回TKO勝利し、WBA2度目、WBC3度目の防衛に成功した。しかし続く今年1月23日に行われたカルロス・カニサレス(ベネズエラ)戦、拳四朗は2本のベルトは死守したものの2-0(113-113、114-112×2)という僅差の判定勝ち。世界戦の連続KO勝利も4で途切れた。 同試合、拳四朗は2回にダウンを奪うも3回、右ショートカウンターを浴びてダウンを奪い返された。以後も激しい打ち合いが続く一進一退の展開になったが残り2回、11、12回に得意のフットワークを生かしたヒット&アウェーでポイントを積み上げた。アザと傷だらけになった顔が表すように、最近では最も苦しんだ戦いになった。 「試合中はもう必死やった。練習でしたことは多分、自然には出せたんやろうけど、『勝つのに必死』って感じでしたね」 世界戦で楽に勝てる相手などいない。ましてカニサレスは、元世界王者で二度の防衛も果たした強者だ。ただそれを差し引いても、4団体統一を目指し、ライトフライ級では安定王者と評された拳四朗がここまで苦戦を強いられるとは予想外だった。 苦戦した大きな理由のひとつに、かねてより不安視されていた減量苦の影響があった事は想像に容易かった。 ■拳四朗はプランを完璧に遂行してくれました