《「二十歳の集い」晴れ着トラブル》各地で発生していたヤンキー衣装を巡るトラブル「サイズが合わないピンク色の袴を強制」「刺繍入り特攻服を作らされた」
中学の先輩を通じ業者に一括オーダー
不良っぽいファッションを好み、けんかしたり、暴走族に入ったり、ときに反社会的な行動に走ってしまう人も出現する危ういやんちゃな若者たちを俗に「ヤンキー」と呼ぶ。彼らのあいだで人気のファッションは世間の流行とは違い、光っていたりアニマル柄だったり、相手を威嚇するような勢いのあるデザインが人気だ。そして、彼らは仲間のコミュニティを何よりも優先する。
筆者は以前、ド派手な式典衣装で有名な福岡・北九州や、横浜、埼玉、千葉などの「二十歳の集い」を取材したが、この女性ディレクターが指摘するように、彼らの派手な袴や着物の注文方法が、ちょっと特殊だった例をいくつも確認した。成人式のための着物を頼む場合、普通に思い浮かぶのは呉服店など着物を扱う業者に直接、連絡して選び購入やレンタルの契約をする、というものだ。ところが、彼らはヤンキー仲間との独特なコミュニケーションの延長で衣装を手配し、お金も動かしていた。 「沖縄県内の式典も近年はド派手になってきており、中学校や地域ごとの出身者でおそろいの袴を揃える、というパターンが多いです。今回も、同じ出身中学のしきり役が先輩を通じて業者に一括オーダーする、という流れでした。業者の代表者は、別の業者に集金や客集めを任せていたようですが、契約書も残っておらず、商売としてはかなりずさん。客側からも“地元のつながりだからとは思ったが、まさか逃げられるなんて”といった声が上がっています」(女性ディレクター) 筆者が過去に取材した新成人のうち、ヤンキー界隈では似たようなやり方で衣装を手配することは少なくなかった。たとえば、暴走族や地元のヤンキーの先輩、といった成人にとって不平不満を言いづらい人たちから、新成人のまとめ役に「注文」を集めるようにと伝えられる。まとめ役は同級生の「客」を集め、金も回収して先輩に収めなければならない。それなりの金額が動いていたが、契約書らしきものを交わした新成人はいなかった。そのため価格設定も怪しいもので、先輩と衣装の業者とが結託していて適正価格より高い金を払わされ、明らかに「中抜き」されたと思われる新成人にも会った。普通のビジネスとはほど遠いやりかたで安くない衣装代が行き交うので、当然、トラブルが頻発していた。だが、2018年に発生した「晴れ着トラブル」のように報じられることがなかったため、関係者以外は知らないことだった。