「築地から豊洲へ」移転決定から17年 新市場がオープン
「豊洲ブランド」確立なるか くすぶる不安
10月11日に開場する豊洲市場は、築地市場から2.3キロ南東の場所にあり、青果棟のある5街区、水産仲卸売場棟のある6街区、水産卸売場棟のある7街区の3つの街区で構成。施設面積は延床面積合計で約51万平方メートルと、築地市場の約1.7倍の規模になる。建物は、エリアごとに適温管理ができる閉鎖型施設であり、高温や風雨の影響を抑えて商品の鮮度が保てるという点が売りだ。 新たな門出となるが、市場関係者には新市場への不安がくすぶる。青果仲卸会社で勤務歴26年という男性社員は「買い出し人や一般の人も含めて、お客さんはみな、交通面に不安を感じています。ある八百屋さんは、駐車するところがないと不満をもらしていました。主要駅との間を結ぶバスのシャトル便があれば不便さも緩和されるのですが」と駐車場不足やアクセス面を懸念する。 開場1か月前の9月には水産仲卸売場棟で建物と舗装のあいだにひび割れが見つかった。地下水位も9月は雨が多かったためか、目標とする水位を達成できていない。いまだ移転に反対する動きもあり、水産仲卸事業者で構成する築地女将さん会は、安全性などの面から移転の撤回をいまも求めている。 小池知事は、豊洲開場を6日後に控えた5日の定例会見で「(移転延期によって)地下水への対応、市場会計の持続可能性といった、これまで議論対象にあまりなっていなかったことに光を当てて検討を重ねてきた」と強調し、こう展望を語った。「事業者の皆さんとともに『豊洲ブランド』を築き、豊洲市場を日本の中核市場として育てていきたい」 (取材・文:具志堅浩二)