KDDIが通信品質で国内首位へ、“デュアル5G戦略”で手にした大きな成果、躍進を遂げた要因はどこにあったのか
■スマホと衛星の直接通信でさらなる拡大 KDDIは、衛星とスマホが直接通信する技術の実用化に取り組んでいる。前田氏は「衛星とスマホの直接通信の実証実験をいよいよ開始する」と述べ、年内にもサービス開始を目指していることを明らかにした。 この技術は、高速・大容量の通信を提供するものではないが、KDDIはこれを山岳地帯や離島、災害時の通信手段として活用することを計画している。具体的には、圏外エリアでのテキストメッセージの送受信や、緊急時の位置情報の共有などが可能になる。
KDDIはアメリカの衛星通信会社Starlink(スターリンク)と提携し、この新しい通信サービスの開発を進めている。前田氏は「アメリカからの免許が発行され、日本でも実験局免許が下りた。制度整備についても総務省に多大なご協力をいただいており、年内に進む見込みだ」と説明した。 戦略的な5G展開と衛星干渉緩和の追い風により、国内通信品質で首位に立ったKDDI。Massive MIMOや衛星直接通信など次なる技術革新も視野に入れ、さらなる通信品質の向上を目指している。「つながって当たり前」の時代において、利用者が実感できる通信品質の向上をいかに実現していくか――同社の取り組みは、モバイル通信の新たなステージを切り拓こうとしている。
石井 徹 :モバイル・ITライター