海自トップはなぜ自衛隊を去ったのか 酒井良海幕長が戦った「組織文化」の闇
辞任にあたり、海上自衛隊の組織文化に問題があると語った酒井良・前海上幕僚長(防衛省HPより)
海上自衛隊で 特定秘密のずさんな取扱い や潜水手当の不正受給など、相次ぎ発覚した一連の不祥事の責任を取る形で7月19日、海自トップの酒井良海上幕僚長(61)が防衛省を去った。「とにかく調査を急げ」。手当不正受給の内部調査について、こう厳命していた酒井氏は辞任直前、「組織文化に大きな問題がある」と発言し、波紋を呼んだ。改革派と目される酒井氏は守旧派のOBらとの対立も抱えていたようだ。旧帝国海軍から連綿と続く歴史の上に立つ海自の“闇”を、酒井氏は一身に背負おうとしていたのかもしれない。 「原因の一つが順法精神の欠如、組織のガバナンス能力の欠落だ。私は組織管理の職責を果たせなかった。新たな体制で問題解決を図るのが適切だと判断されたものと考えている」 7月12日の記者会見で酒井氏は、事実上の更迭となった自身の処遇について、一言ずつ噛み締めるようにゆっくりと述べた。
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