ブラジルとアルゼンチンは決勝で対戦できるのか?
空前のゴールラッシュに沸いたグループリーグ、見ている側の胸を打つ白熱の攻防が続いた決勝トーナメント1回戦から一転して、準々決勝は1対0で決着がついた試合が2つを数え、オランダ対コスタリカは0対0のまま120分間譲らずにPK戦へともつれ込んだ。 サッカー強国ばかりが勝ち残った準決勝以降は、リアリズムに徹した戦い方がより顕著になる可能性もある。水沼氏はある意味で必然的な展開と指摘した上で、頂点を争う戦いの明暗を分けるキーポイントとして「メンタル力」をあげた。 「強国同士の戦いはお互いの力を出し合えば面白いけれども、相手の力を出させない力がはまってしまえば面白みも半減しかねない。予想を裏切って欲しいと思うけれども、ここから先は華麗なサッカーを楽しめないというか、楽しんではいけないと思う。その中で抜けているというか、堅いと言っていいのがドイツ。選手全員のレベルが平均して高く、フランス戦ではキーパーのノイアーが大活躍したように、誰でもスターになれる点はチーム力の高さを物語っている。もっとも、優勝国を予想するとなると、このレベルになればまったくわからない。ここまできたらメンタルの勝負。ギリギリの中で、勝つためにリアリズムに徹することができるかどうかという点を含めて、その国のサッカーの本質が問われる戦いになると思う」。 開催国ブラジルがドイツに破れ、対抗にあげられてきたアルゼンチンもオランダに屈した瞬間、南米大陸で開催されてきたワールドカップにおいて初めてヨーロッパ勢が頂点に立つ歴史が確定する。 (文責・藤江直人/スポーツライター)