ブラジルとアルゼンチンは決勝で対戦できるのか?
チアゴ・シウバの代役と務めることが予想されるダンチは身長188cmとシウバよりも6cm大きく、高さの面でドイツに十分に対抗できる。バイエルン・ミュンヘンの所属でドイツ勢を知り尽くしている点で、逆境の中で数少ない「追い風」となる可能性はある。 いずれにしても、大きなけが人も出場停止者もゼロで、インフルエンザ禍の中で迎えたフランスとの準々決勝を乗り越えてきたドイツが優位に立つ感は否めない。ブラジルはいかにして戦うべきなのか。水沼氏が続ける。「自国開催のワールドカップで、しかも2大会続けてベスト8で敗退してきたブラジルにかかるプレッシャーは想像を絶するものがあるはず。これまでの戦いで哲学や美を追求しても仕方のないところがあったと思うけれども、そこにネイマールやオスカルがいたことで、まだ『らしさ』を出せていた。そのネイマールを欠いたブラジルがどのように戦うのかは、先発メンバーを見て、実際にキックオフの笛が鳴るまではわからない。ただ、オスカルにせよフッキにせよ、まだ爆発しきれていない前線の選手たちがあと2試合、いままで以上のパフォーマンスを出さないことには苦しいかもしれない」。 アルゼンチンとオランダの顔合わせとなった反対側のブロックも、けが人の存在が大きな影を落とす。ベルギーとの準々決勝の前半に右太ももを痛めて退場した、アルゼンチンのMFディ・マリアの準決勝出場が絶望となったことに、水沼氏は「アルゼンチンにとっては痛すぎる」と指摘する。「メッシのために汗を、それも高いレベルでかけるのがディ・マリアだった。あれだけ走れて、あれだけ技術も高い選手の代役はいない。アルゼンチンはメッシ、オランダはロッベンと決定的な仕事ができるドリブラーを擁していて、彼らを抑えられたときにアルゼンチンにはディ・マリアがいて、オランダではここにきてスナイデルの調子が上がってきた。この差がどう出るのか。ディ・マリアの代わりにドリブルを得意とするラベッシを入れるのか、中盤で守備もできるガゴを入れるのか。場合によっては中盤のマスケラーノを下げて、3バックに変更することもサベージャ監督は視野に入れているかもしれない」。