「健康書2000冊」が導き出した“健康長寿”の結論、医学研究の最前線に躍り出た「注目の臓器」とは
ちなみに、健康にいい働きをしてくれる善玉菌は、年齢を重ねるごとに減ってしまう傾向にあります。ですから放っておけば、善玉菌は減り続け、腸内は悪玉菌ばかりになって、大切な腸内細菌の多様性は失われてしまうのです。 悪玉菌が増え、腸内環境が悪化すると、肌荒れや病気のリスクが高まったり、老化が加速したりする可能性も出てきます。だから、毎日の食事で意識的に善玉菌を増やすことが、本当に大切なのです。 そして、善玉菌を増やすために大切なのは、ズバリ「食物繊維」です。健康で長生きするためにも、腸内環境を整え、善玉菌がイキイキと活躍できる環境を作っていきましょう。
■目的は善玉菌に「短鎖脂肪酸」を作ってもらうこと では、なぜ善玉菌は重要なのか。その正体に迫っていきましょう。 善玉菌は、まるで私たちの体の中で働く、小さな工場のようなものです。この工場では、私たちの健康に欠かせない特別な物質が生み出されています。 その物質の名は「短鎖脂肪酸」。聞き慣れない言葉かもしれませんが、「短鎖脂肪酸」こそ、腸の多彩な働きのカギを握っている重要な物質です。少し、順序が逆になりましたが、大切な短鎖脂肪酸を作り出してくれる代表的な善玉菌の働きを確認しておきましょう。
●乳酸菌 乳酸を作る菌の総称。悪玉菌の増殖を抑制し、腸内環境を整えます。免疫機能を高める菌や、アレルギー症状を抑える菌も発見されています。 ●ビフィズス菌 乳酸や酢酸を生成し、悪玉菌の増殖を抑制します。酢酸の強い抗菌作用により、大腸菌の増殖防止や食中毒菌の殺菌も期待できます。 ●酪酸菌(酪酸産生菌) 酪酸を作る菌の総称。腸管上皮細胞の主要なエネルギー源となり、腸管バリア機能(腸の粘膜が外部からの有害物質の侵入を防ぐ機能)の維持や免疫応答の調節など、さまざまな生理機能に関わっています。
■酪酸菌が「健康長寿」のカギをにぎっている これらの善玉菌は、短鎖脂肪酸の生成に役立つ乳酸、酢酸や酪酸などの短 鎖脂肪酸をつくります。短鎖脂肪酸とは、炭素数が6以下の脂肪酸の総称で、代表的なものに酢酸、酪酸、プロピオン酸などがあります。短鎖脂肪酸は、腸研究の最先端の分野であり、現在進行形で研究が進んでいるところですが、現時点では次のような働きがあると言われています。 • 腸内を弱酸性に保ち、悪玉菌の増殖を抑制