「健康書2000冊」が導き出した“健康長寿”の結論、医学研究の最前線に躍り出た「注目の臓器」とは
かつては、腸内細菌を「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類に分類し、それぞれの割合を一定に保つことが健康につながると考えられていました。「善玉菌」「悪玉菌」という言葉には、見覚えがある方も多いでしょう。 少し前の腸活本では、以下のような内容がよく見られました。 ・腸内細菌は、善玉菌・悪玉菌と、もう1つ「日和見菌」に大きく分けられる ・善玉菌は、人体によい働きをするさまざまな腸内細菌の総称 ・悪玉菌は、人体に害のある働きをするさまざまな腸内細菌の総称
・日和見菌は、そのどちらでもない腸内細菌の総称 ・善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7がベストバランス しかし、研究が進むにつれて、この考え方は変化しつつあります。 たしかに、基本的には善玉菌は有益で、悪玉菌は有害と言えます。ただし、善玉菌とされていた菌の中にも、状況によっては人体に悪影響を及ぼすものがあることや、悪玉菌や日和見菌とされていた菌の中にも、人体に有益な働きをするものが存在することも明らかになっています。
また、ある種の悪玉菌は、善玉菌が人体に有益な働きをする上で、必要不可欠な存在であることがわかってきました。 このような新しい知見から、もともと学術用語ではない「善玉菌」や「悪玉菌」という表現を使わない専門家も増えています(本稿ではわかりやすさを優先してこれらの言葉を使用します)。 さらに、理想的な腸内フローラのバランスは、人によって大きく異なることもわかっています。加えて、悪玉菌や日和見菌も含めた腸内環境の多様性こそが、健康維持に重要だという考えが今の主流です。
善玉菌を増やし、悪玉菌を減らせばよい、という単純な話ではなくなっているんですね。 ただし、理想的な腸内フローラのバランスは個人差があるとはいえ、健康長寿の人に共通する特徴があります。それは、ビフィズス菌や酪酸菌など、特定の善玉菌が多いことです。 つまり、これらの健康にいい善玉菌を増やすことが私たちの使命であり、善玉菌を増やすことこそが腸によい食事の正体なのです。 ※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください