8月の株価急落に耐えた投資対象、為替ヘッジありの「小型株」「バリュー株」そして「ゴールド(金)」
ところが、その後、7月の後半には日米の株価が調整安となった。バイデン政権が中国に対する半導体関連の規制を強化すると発表したため、今年の相場のけん引役であった半導体関連銘柄が弱含み、その後、テスラの電気自動車(EV)の販売が計画通りに進んでいないことが嫌気されて株価が急落。アルファベットもYoutubeの広告収入が予想を下回ったことで株価が下落するなど、2023年以来の株価のけん引役であった「マグニフィセント・セブン」の一角が崩れるような動きになった。そして、生成AI関連の半導体の競争激化が懸念されエヌビディアの株価が急落した直後の7月31日に、日銀が0.25%の利上げを決定し、その後の総裁記者会見で追加利上げの可能性に言及した。
この日銀の決定を受けて、日経平均株価は8月1日から3日間にわたって急落した。1日に975円安、2日は2216円安、そして、週明け月曜日の5日には4451円安という史上最大値幅での急落となった。この8月1日から5日にかけては、米国も欧州も中国も3営業日連続安となり、日本発の株価急落が世界に伝播した。この世界的な株安について、7月11日のピークを起点としてファンドの下落率を調べると、「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均株価)」がマイナス25.48%と一番ダメージが大きかった。「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」はマイナス16.84%、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」はマイナス17.44%だった。最も下落率が大きかった「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均株価)」は昨年末の水準からもマイナス5.24%となり、半年余りにわたって27%のプラスになっていた収益が一瞬でマイナスに転じてしまった。
また、8月5日には1ドル=142.61円まで急速に円高が進み、この結果として海外債券で運用しているファンドも急落した。「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」は7月11日のピークからマイナス7.58%、「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」は同マイナス9.75%と沈んだ。「eMAXIS Slim 国内株式(日経平均株価)」以外の「オルカン」、「S&P500」、「海外債券」、「8資産均等」は前年末比でマイナスになるようなことはなかったが、ピークの収益に比べると、大幅に収益を目減りさせた。海外債券は急速な円高のためにダメージを受けたが、国内債券はこの急落のさなかでも上昇をした。「eMAXIS Slim 国内債券インデックス」は7月末の基準価額9354円が、8月5日には9569円に上昇した。