アクセンチュア流「SCM改革」、体験談で教える「3つのAI事例」と「3つの秘訣」
SCM改革を成功させる「3つの秘訣」
兼沢氏は、SCM改革プロジェクト成功の秘訣として、改めて3つのポイントを示した。 1つ目は、「経営マターとして、全社改革を危機感を持って推進していくこと」だ。「サイロ化したシステムや、地域ごとに個別最適化した仕組みをグローバルで変えていくためには、経営層のコミットが欠かせません」と兼沢氏は話す。 2つ目は「柔軟かつ迅速に改革を進めていくこと」だ。不確実性の高い社会情勢の中で、企業の求めるバリューも変わっていくことが考えられる。「5年かけて大きな改革を推進するというより、小さくても短期間で改革を行い、段階的にバリューを実感できるようなロードマップにすることが大事」と兼沢氏は指摘した。 3つ目は、「サプライチェーンのデータを維持管理する仕組みを、AIを活用して整備すること」だ。これまでの経験や勘、コツを捨てる覚悟を持ち、「ツールによって見えてきたデータを基にデータドリブンな意思決定をやりきることが重要」と兼沢氏は話した。 最後に兼沢氏は組織面でのポイントについて説明。 「改革はデータがキーになってきます。データを維持、管理する役割を組織に組み込んでいくことが必要です。データやプロセスが形骸化しないよう、KPIやルールを維持、管理できる人・役割をプロジェクトに置くことが重要です」 また、改革メンバーに若手を抜擢することもポイントとなるという。「今の若い人の中には、Pythonを駆使してデータ収集、分析などを自動化できる人も多くいます」としつつ、「データドリブンなマインドを持った若手をプロジェクトに抜擢することで、固定概念にとらわれることなく改革が進む場合があるのでぜひ参考にして欲しいです」と締めくくった。
執筆:フリーランスライター 阿部 欽一、撮影:吉成 大輔