オランダGPで“ダメダメ”だったメルセデス、自信作の新フロアを精査へ。バランス悪化か?「ダウンフォースが増えたのは確かだが……」
F1ベルギーGPで新たなフロアを投入し、サマーブレイクに入ったメルセデス。しかし休み明けのオランダGPで苦戦したことを受けて、新フロアに疑念を持ち始めているという。 【動画】20年でF1マシンはどれだけ変わった? 雨のシルバーストンでレッドブルが走行比較 メルセデスはベルギーGPに、最新アップグレードの一環として新たなフロアを持ち込んだ。しかし走行初日に苦戦したことを受けて最新フロアは取り外され、旧型フロアで走ったレースでは後にジョージ・ラッセルが失格となるものの、ラッセルとルイス・ハミルトンがワンツーでフィニッシュするなど高いパフォーマンスを見せた。 一方でチームは新型フロアのポテンシャルを確信していたため、オランダGPのフリー走行でも改めて確認作業を行なった末、レースウィークを通して新フロアを使うことを決めた。 しかしながらこのレースは、チームにとって残念な結果に終わった。ラッセル、ハミルトン共に優勝したランド・ノリス(マクラーレン)のパフォーマンスには遠く及ばず、ラッセル7位、ハミルトン8位という結果に終わった。これにより、最新のフロアデザインに問題があるのではないかという疑念が再燃している状態だ。 チームの分析によると、新しいフロアは従来型よりも多くのダウンフォースを生み出しているものの、テクニカルディレクターのジェームス・アリソンはそれがマイナスのバランス特性をもたらしてしまい、失うタイムの方が多くなってしまっている可能性を示唆した。 メルセデスがレース後に公開している恒例の動画の中でアリソンは、新フロアがマシン特性を変化させる上で果たしている役割を理解しようと、チームが懸命に取り組んでいると語った。 フロアのパフォーマンスについて尋ねられたアリソンは、次のように答えた。 「シンプルに答えると、完全には分からない」 「単純に測定して、ダウンフォースがあるように見えたと言うことはできる。だからあるレベルでは、期待通りに機能したと安心することができる」 「しかし、特に今年のマシンはハンドリングの良し悪しに大きく左右される。だから、単に『エアロパッケージがダウンフォースをもたらしているか』という問題ではなく、『コーナーで高速域から低速域まで必要なバランスの取れたマシンになっているか?』というのが重要だ」 「間違いないのは、今週末(オランダGP)のマシンはバランスが良くなかったということだ」 「そこがラップタイムの大部分を占めただろう。それが新しいフロアやエアロパッケージのせいなのか、今後のレースで見直す必要がある」 「今のところ、ダウンフォース(の増加)を検出したことは確かだが、それによって良いバランスを提供できるかどうかはわからない。それを今シーズンを通して調査する必要がある」 またアリソンによると、オランダGPの予選でラッセルとハミルトンのパフォーマンスが悪かったのにはマシンバランスの悪さが影響していたが、それはタイヤがオーバーヒートしたことが原因だという。 「我々はどんな理由であれ、諸刃の剣のようなマシンを作り出してしまった」とアリソンは言う。 「ドライバーたちがハッスルしようとするときに、(フロアが)路面に接触してリヤのグリップを失い、すぐにスナップして(滑って)しまう」 「特に予選なんかは、マシンに頼る必要がある。その中でこのとても敏感なマシンをうまくレールの上に乗せることができれば、良いラップタイムが出せるだろう」 「突風だったり何らかの原因で少しでもリヤが滑ると、そこからリヤタイヤは大きく滑り出すようになる。ほんのわずかなスリップによって、(タイヤの)ゴムの表面温度が飛躍的に上がってしまうんだ」 「一度表面温度が上がってしまうと、いくつかのコーナーを過ぎるまで回復しない。ザントフールトではコーナーがどんどん迫ってくるし、長いストレートもないからタイヤを冷やすこともできない。だから1回のスナップでアタックが終わってしまうんだ」
Jonathan Noble