高濃度PFAS検出の岡山・吉備中央町で血液検査を実施…町長「不安が少しでも取れるように」
岡山県吉備中央町の円城浄水場から高濃度の有機フッ素化合物(PFAS)(ピーファス )が検出された問題で、同町は25日、全国で初めて公費による住民らの血液検査を開始した。山本雅則町長は報道陣に「検査で住民の不安が取り払われるものではない。一人ひとりの悩みを聞き、不安が少しでも取れるようにしたい」と話した。 【地図】岡山県
町によると、検査対象は住民のほか勤務先で円城浄水場の水を飲んだり、転居したりした人を含めて2歳以上の約2400人のうち、希望した790人。13歳以上の739人は12月1日まで地域別に6回に分けて町内の公共施設などで実施する。2~12歳の51人は12月1、8日に岡山市の小児科医院で行い、それぞれ県外の専門機関で血液中のPFAS濃度を調べる。
町はそのほか、県健康づくり財団に委託して脂質や肝機能、赤血球、白血球、甲状腺ホルモンの数値も調査。PFASの検査結果と共に、来年1月頃に結果を受検者に郵送で知らせる。
また、同浄水場の水を飲んだ人と飲まなかった人の健康状態を比較するため、町は今年8月下旬から、給水区域外の住民らも含めた計約1万800人に健康影響調査票を配布した。任意で返送してもらい、PFASの検査結果や健康づくり財団に委託して調査した結果と共に、岡山大と川崎医科大に送り、分析・評価を依頼する。
今回の検査結果と比較するため、町は5年後の2029年度にも血液検査を予定している。
町は今回の血液検査費として当初予算に約6000万円を計上した。国の補助を受けない単独町費での実施で、山本町長は報道陣に「町の水道水を飲んでいる以上、町に責任がある。しっかりと対応するのが当たり前だと思う」と説明した。
「体への影響心配」「データ収集に協力」
血液検査は午前9時~正午、町内の宿泊施設で行われた。訪れた住民ら50人は順次、同意書への記入などを済ませ、県健康づくり財団の看護師による採血を受けた。
家族5人で訪れた会社員女性(47)は「体への影響が心配で検査を受けに来た。現時点で体調に変わりはないが、検査で病気などが明らかになった時には、行政に早めの対応をしてもらいたい」と話した。