秋と春が極端に短くなり、四季は"二季"に!? これから日本は猛暑&豪雪の「地獄気候」になる!
■残された時間はあと数年のみ! あと15年ほどしかない! 「甘めの予測でも、間違いなく現役世代が生きている間にはやって来るでしょう。今以上の猛暑と豪雨に悩まされる夏を耐え忍んだと思ったら、次は寒さと豪雪に悩まされる冬が来ます。気温が程よく過ごしやすい春と秋はわずかしかない。それが『二季になる』ということです。 今はまだ想像できないかもしれませんが、私は90年代に新聞の1面で『体温超えの暑さ』と夏の猛暑を報じていた時代を覚えています。35℃超えを〝異常気象〟と呼んでいたのです。これと同じように今は異常だと思っていた気候が、そう遠くない未来には普通になるのです」 もはや秋の風物詩がなくなるなんてレベルの話ではない。このままでは日本がまともに暮らせない国になってしまう。今からこの未来を避けることはできるのだろうか。 「今につながる気候変動のティッピングポイント(転換点)は過去2回ありました。最初は偏西風の蛇行が激しくなり、日本で夏の猛暑が連日報じられるようになった2010年頃。 2度目は日本近海の海水温が急激に上昇した昨年です。そして、現在は次が到来するかどうかという瀬戸際にいます。このポイントを越えたら、もう日本に四季は戻ってこないでしょう。 というのも、多くの研究で『産業革命前の世界の平均気温との温度差が1.5℃を超えると後戻りできない』と指摘されているからです。そのラインを越えると北極の海氷やシベリアの永久凍土が取り返しのつかないほどに解けてしまいます。そうなってからCO2を削減しても氷が再凍結するわけではないため、完全に手遅れとなります」 しかも立花氏によると、世界の平均気温は昨年の時点でプラス1.45℃とギリギリのところまで迫っているという。 「日本政府は2030年までに温室効果ガスの排出量を大幅に削減すると宣言していますが、それは深刻な危機が目前に迫っているからです。 もし実現できなければ、日本は二季の国になります。夏は外に出ることが危険なほどの暑さです。しかも、夏も冬も交通機関がしょっちゅうまひするようになり、経済活動も大きく停滞するでしょう。 このように地球温暖化は決して人ごとではありません。多くの人は『北極の氷が解けてシロクマが困っている』といったイメージを持っているかもしれませんが、日本人にとってもすごく身近な危機なのだということを自覚し、少しずつでいいから、ひとりひとりがCO2削減を意識して生活してほしいと思います」 今年の夏をはるかに超える異常気象を日本の〝ニューノーマル〟にしないために私たちに残された時間は、わずかしかない。 ●立花義裕(たちばな・よしひろ) 1961年生まれ、北海道出身。三重大学大学院生物資源学研究科気象・気候ダイナミクス研究室教授。北海道大学大学院理学研究科・地球物理学専攻博士後期課程修了、博士(理学)。専門分野は気候変動や異常気象など 取材・文/小山田裕哉 イラスト/ぱいせん 写真/時事通信社