「自由度の高さが魅力だった」青春18きっぷ、JRが《大幅改定》に踏み切った「致し方ない理由」
11月26日、2024年冬季分の「青春18きっぷ」が発売を開始した。今回の販売分で注目されているのが、切符の《大幅改定》だ。 【マンガ】工事現場の「交通誘導員」はいくら稼げる? 驚きの最高月収 青春18きっぷは1982年に「青春18のびのびきっぷ」という名で発売が開始され、長年にわたり旅行者に愛用されてきた。それだけに、今回の大幅改定が与える社会的インパクトは大きかった。改定内容を確認しつつ、新しく生まれ変わる青春18きっぷの使い方を考えていきたい。
「自由度の高さ」が人気だった
青春18きっぷはJR管内の快速・普通列車に乗車でき、春・夏・冬の3シーズンに分けて販売される期間限定のきっぷだ。 2024年夏までの価格は1万2050円。5回(人)分が1セットになり、1枚のきっぷで1人で5回利用できるほか、5人で1回などのグループ利用も可能だ。また、5日間連続使用でなくてもよい、という「自由度の高さ」も人気の一因だったように思う。 一方、新幹線の開業により、新幹線に並行する多くの在来線が第三セクターに移管されたが、原則として青春18きっぷは第三セクターでは使えない。また、有人駅での改札通過時には有人改札を通過する必要があった。 主要駅ではインバウンド客の増加により、自動改札機がありながらも、有人改札の前で待ちぼうけを食らう青春18きっぷ利用者を見かけたものだ。そのため、時間の経過と共に、時代と青春18きっぷとの間にある種の「ズレ」が生じているように筆者は感じていた。
改定の肝は「連続使用」
では今回の改定はと言えば、今までの青春18きっぷの常識を覆す内容だ。 まず、従来の5日間用に加え、3日間用が誕生。そして有効期間が変わる。有効期間は利用開始日から連続する3日間、もしくは連続する5日間になる。従来とは異なり連続使用が求められることから、「思い立ったが吉日」のような自由な日帰り旅が難しくなる。 また、利用人数は1枚につき1人に限られるため、グループ利用はできなくなる。なお、料金は5日間用が従来と同じ1万2050円、3日間用が1万円だ。 ここまで見ると、青春18きっぷの人気を裏付ける「自由度の高さ」が狭められたように思えるが、改定によるメリットもある。自動改札機を利用できるようになり、有人改札で待たされるシーンが少なくなるという点だ。 何より各駅を自由に乗降できる仕組みは変わっていない。交通系ICカードの普及により、途中下車自体が難しくなっているなか、ふらりと気になる駅に降りられる自由さは残った格好だ。